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狭間06エピソード集

イレギュラー


目次


登場人物

緋昏歩
アネモネラウンジの店主。記録屋
リンダ・レイブンクロー
西洋出身の魔女。修験者。いわゆる烏天狗。

本文

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 [arca] #フィネストラ吹利402

     歩:「……」

 [arca] #家具のないがらんどうのリビングを見回す

     歩:「んー…確かにここにしばらく居た形跡があるけど。もういないみたいね」

     烏天狗:「隣の部屋にも出入りしていた様だが。ここに居たのは一、二週間ほどらしい」

     歩:「長居はしなかったのね」

     烏天狗:「……」

     歩:「その後の足取りはわかった?」

     烏天狗:「…いや。ブービーストーカーが残滓から特定を試みているが。まだだ」

     歩:「ふーん…」
     歩:「……リンダ、何か隠し事してるでしょ?」

     烏天狗:「……」

     歩:「んー……長く再生したままだとこう言う弊害が出て来るのね」(別段怒る素振りもなく微笑む

     烏天狗:「どう言う意味かしら?」

     歩:「言ったまま、そのままの意味よ」
     歩:「再生者は再生時間が長くなるほど私の意思と乖離して独自の判断を優先するようになる」
     歩:「あなたに稽古を付けてもらっていたときもそうだったわ、どんどんスパルタになっていったし……」(ブツブツ)
     歩:「そして今回はどう言う訳か、私の意思と関係なく再生された個体の情報を隠匿している」

     烏天狗:「……」(腕を組みばつが悪そうに顔を背ける

     歩:「ねえリンダ。両方ともイレギュラーだけど、私はそんなに嫌じゃないの」
     歩:「大分特殊ではあるけれど、あなた達も生き物なんだなって…そう思えるのよね」

     烏天狗:「……変わった解釈だな。我々はオリジナルに当てられた歩と言う光が投影した影に過ぎないというのに」

     歩:「それでも、少なくとも今のリンダには私ともオリジナルとも違った独自意思があるのよ。先代達はそれを恐れていたみたいだけど」

     烏天狗:「そう…いずれ裏切りを覚えることもあり得る」

     歩:「リンダは、私を裏切る?」

     烏天狗:「わからない……少なくとも今、命令には背いている」

     歩:「ふふ…認めた」(静かに微笑み)

     烏天狗:「ならどうする、帳の主よ」

     歩:「別にー…どうもしないわ。少なくともリンダに関してはね」
     歩:「……リンダ、あなた達をしばらくこのまま再生し続けていようと思うの」

     烏天狗:(目を見開き、驚く)「……本気で言っているのか」

     歩:「ええ」(微笑み)

     烏天狗:「…つくづく変わったヤツだな、歩は」

     歩:「まーね。……でも、イレギュラー全てをあなた達みたいに扱える訳じゃないわ」
     歩:「あなた達の事は気心が知れているけど、私の意思と関係なく再生した個体……あれはこのまま放置することはできないわ」

     烏天狗:「それは、当然だが…スカーフェイスやブービーストーカはどうなのだ?」

     歩:「ふふん…実は、あの子達についてもちょっと考えがあるのよね」
     歩:「でも、その前に本当のイレギュラーをどうにかしないとね」
     歩:「それに、あなた達がどうしてイレギュラーの行き先を教えないのか…その理由も大体見当がついてるし」(うふふ)

     烏天狗:「……黙っていてすまない」

     歩:「いいのよ。優しいねリンダは」

    烏天狗:「……」

     歩:「さて、ずっとここに居てもしょうがないし。帰ろっか」

     烏天狗:「ああ」

     歩:「そうだ。この部屋、近い内にあなた達用に整えるから。楽しみにしててね」(微笑み)

     リンダ:「ふふ…歩は本当に変わった帳の主だ」

     歩:「それほどでもあるかな?」(うふふ)
 
[arca] #主従とは別の絆が通じ合ったのを確認し、二人は部屋を後にする

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時系列

10月上旬

解説

歩の意思と独立し手帳より再生された『再生者』の追跡調査の一幕。

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