久しぶりにキャラチャでは無いエピソード形式の創作などを試みてみる。セリフ修正、乱入などコメント欄で訂正、追記する形で書いてもらえば追加編集して行きます。
狭間06エピソード集
私立探偵部の日常
エピソード『夏の鈴の音』
- 鏡阿光
- ハードボイルドを目指す仮面ライダー少年。カウラの恋人。
- カウラアード・シルフィ・ルートスペード
- 吸血鬼にして魔術師。阿光の恋人。
七月中旬、よく晴れた夏の日。デート帰りのバス停で、バスを待ちながら。
- 阿光
- 「うん、楽しかったな」
- カウラ
- 「良かったわね」
- 阿光
- 「む……素っ気ないな」
- カウラ
- 「最後の方楽しんでたの、貴方だけだったじゃない」
ふてくされた様に、カウラは言う。
この日、阿光とカウラが幡多町のガラス工芸館に足を運んだのは、部室に置く風鈴を調達するためだ。
工芸館では7月から8月にかけて、風鈴の絵付け体験を開催していた。ちょうどいい具合の風鈴が手に入ると同時に、デートまで楽しめる。阿光にしてみれば、一石二鳥の名案だった。
実際、途中までは目論見通り運んでいた。
- 阿光
- 「なんだよ、別に良いって言ったじゃないか」
- カウラ
- 「思ったより暇だったのよ、見てるだけって言うのは」
問題は、当初の予定であった絵付け体験が終わった後、同日に開催していた吹きガラス体験にあった。
- 阿光
- 「そんなに暇なら、お前も参加すればよかったのに」
- カウラ
- 「嫌よ。この暑いのに、溶解炉の横で吹きガラスなんて灼熱地獄……あなただって汗だくじゃない」
- 阿光
- 「む……」
- カウラ
- 「少し臭うわよ」
- 阿光
- 「そ、そうか?」
- カウラ
- (すんすん)「ええ、気になるほどではないのだけれど」
- 阿光
- 「む……帰ったらシャワーでも浴びるか」
- カウラ
- 「そうした方がいいわ。ほら、お茶飲みなさい。脱水で熱中症になっても知らないわよ」
- 阿光
- 「お、おう」
「全く、仕様がないわね」と、悪態をつきながら、カウラは鞄の水筒からお茶を注ぎ、差し出す。
- 阿光
- 「(こういう所、可愛いよな)」
- カウラ
- 「なに?」
- 阿光
- 「いや、別に」
- カウラ
- 「ニヤニヤと、いやらしい事でも考えていたのかしら」
- 阿光
- 「誰がだ! いや、考えてないぞ」
- カウラ
- 「経験則的に見て、こういう時のあなたは五割くらいの確率でいやらしい事を考える気がするわ」
- 阿光
- 「全力で否定するぞそれは! 精々一割程度だろ」
- カウラ
- (じとー)「……一割は考えてるのね」
- 阿光
- 「あ……いや」
- カウラ
- 「……エッチね」
- 阿光
- 「誤解だ! いや、仕方ないだろう。年頃の男としては、好きな女の子に。なあ?」
- カウラ
- 「最近のあなた、本当お猿さんね」
- 阿光
- 「むぅ……」
既に六時を回って、時刻は夕暮れ時。夏の昼は長いが、日差しは低く傾いており、バス停のすぐ裏手にある鎮守の森から吹く風は心地好い。
- カウラ
- 「でもそうね、楽しかったわ。曲面に模様を描くのって、意外と難しいのね」
そう言うと、先ほど出来たばかりの風鈴を箱から取りだして、風に任せる。
- 風鈴
- カラカラカラ
- カウラ
- 「良い風ね」
- 阿光
- 「ああ」
- カウラ
- 「風鈴ってこんな音がするのね。『チリーン』という感じの、もう少し高い音のを想像してたわ」
- 阿光
- 「それは鉄の風鈴じゃないか? たしかにあれなら、チリンチリーンという感じの音が出るな」
- カウラ
- 「ふうん、今度そっちの風鈴も見てみたいわ」
- 阿光
- 「和風の小物屋なんかに行けば売ってるかな。今度商店街あたりに探しに行こうか」
- カウラ
- 「ええ」
- 風鈴
- カラカラ……カラ
ふいに、吹きつけてきた生ぬるい風に、カウラは眉根を寄せる。
- カウラ
- 「……嫌な風が吹いてきたわ」
- 阿光
- 「ん?」
一瞬遅れて阿光も、涼やかな夏の夕暮れを台無しにする、纏わりつくような瘴気に気付く。
辺りからは何時の間にやら虫の声も途絶えている。
- 阿光
- 「夏の夜に怪談話は付きものというが……」
本当ならそろそろバスが来るはずの、県道の北東の方角から、一列に並んだ白装束の男たちが、ずるりずるりと足を引きずって歩いて来る。目深にかぶった笠の隙間に見える顔色は、血色が悪いを通り越して、最早腐り始めていた。
- カウラ
- 「あれ、あなたの知り合いかしら」
- 阿光
- 「いいや。おまえのでもないんだな」
- カウラ
- 「当然でしょ」
- 阿光
- 「でも、こっち来るぞ」
- カウラ
- 「通り過ぎるんじゃない?」
- 阿光
- 「……そうなら良いのにな」
- カウラ
- 「……そうね」
軽口を叩くうちに、男たちは歩を止める。阿光とカウラは同時にため息をついた。案の定というべきか、男たちが泊ったのは丁度二人の目の前だったのだ。
- 阿光
- 「ゾンビに恨まれる筋合いは無いんだが」
- カウラ
- 「あら、ゾンビというのは正しくはブードゥーの呪術によって生み出される使役の事よ。少なくともこれは違うわ」
- 阿光
- 「じゃあ、なんなんだこれ」
- カウラ
- 「さあ……単純に亡霊で良いんじゃないかしら?」
2013年7月中旬
ガラス工芸館へのデートの帰りで、アクシデントに見舞われる阿光とカウラ。
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ログ切り人。IRCでのNickはTK-Leana。
思いつきでキャラメイクしては一発ネタで終わることが多いため、
参加者ページのキャラクターリストは出オチキャラの墓場になっている。
[HA06P]歩の怪異探訪①← →[HA06P]エピソード『歩の怪異探訪③』
わーい(・ω・)ノ
セリフ修正:
カウラ
(すんすん)「ええ、気になるほどじゃないけど」
↓
カウラ
(すんすん)「ええ、気になるほどではないのだけれど」
カウラは「~けど」の際には「~のだけれど」となる様です。
—
人から見てこんな風なんだな!と超新鮮。
ありがとうございました!
2013年7月21日 5:48 AM | utako |
わーい
他の人に書いてもらう自キャラって嬉しいですよね
EP書きを知らない人たちにも嬉し恥ずかしい快感を体験してもらいたいです
みんな書こうぜ
あと僕らももう大人だから少しくらいなら肌多めにひん剥いた展開になっても大丈夫だろうと思います
阿光の
2013年7月21日 4:34 PM | いずみ |
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