狭間06エピソード集
エピソード『あこがれのマイホーム』
- 無戸室近衛
- 無戸室さんちの近衛くん。
- 高天原貴弦
- 近衛の助手的な役割もこなすことが多い。
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utako] #3月某日、吹利市内のとある教会。
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utako] #蔦の貼った外壁に歴史を感じ、埃で白けてしまっているがかつては美しかっただろうステンドグラスはまだ磨けば価値を取り戻しそうな、放置された無人の教会を散策するように歩く人影があった。
- 貴弦
- 「広さも申し分なかろう、中庭の噴水は元々使っとらんかったせいで動かすのも手間もある。庭も……既に林になっとるが、手を入れるなりそのまま使うなり、好きにすりゃええが」
- 近衛
- 「部屋の広さも良い感じさな。寮に出来そうな院もあって万々歳さ」
[utako] #胡散臭い古い書生のような長男に、黒レンズのサングラスをした髪の長い父。近衛親子
- 貴弦
- 「移築しとるわけじゃねぇがよ、地下にもそれなりに部屋があるが……そっちは面倒だしのぉ。案内はせんぞ」
- 近衛
- 「使わねぇ場所は閉鎖しちまえば良いさ。それにまぁ……俺も行くのは面倒臭ぇ気がするさな」
[utako] #埃が漂っているわけではないが、軽く周囲を払って、若干眉を寄せる。
- 貴弦
- 「どうせ安く片す予定だったもんだがの、渡り手治まりゃそれでええかのぉ……」
- 近衛
- 「その予定から更に勉強してくれりゃ嬉しいが……、こりゃ、渡す相手にも困るだろうさ」
[utako] #二人の間を、半透明の馬が駆け抜けていった。
[utako] #場所は屋内の廊下。蹄の音は聞こえず、頭骨をむき出しにした馬の嘶きは耳には聞こえなかったが、ビリビリと親子の身体を揺すった。
- 近衛
- 「……でけぇのは片付けたわけでもねぇのかい」
- 貴弦
- 「散らかっとったもんは片したが、ああいうのはまだそこらに残っとるわい」
[utako] #親子から10mほど離れたところで方向を変えて足踏みしている馬の背に、煙が渦巻くように、首なし騎士の亡霊が現れた。
- 近衛
- 「……安さの秘訣なんてのは、現実、割れた人参1本10円みてぇなもんじゃねぇかと思うさなぁ」
[utako] #頭を掻きながらため息ついて
- 貴弦
- 「綺麗なもんが良いとは限らんだろうよ。雅と寂は共に良し。好みはあるがのぉ」
[utako] #かかっ、と笑って親子は騎士と対峙する。
2013年3月
新生活に向けて、新居を探す近衛。やはり大人数で住める安いところとなれば、いわく付きの家が多いようで……
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とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ!
常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
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