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狭間06エピソード集

エピソード『賢者と鳥と』




目次





エピソード『賢者と鳥と』


登場人物



無戸室近衛

WhiteLineの管理人

パッハロ・K・U

管理人代行


本文



[utako] #WhiteLine、南部近辺
[utako] #地平線まで白い大地に突如として見えてくる黒い壁に厚い雲。
[utako] #回収待ちの黒い水を一時的に保管してあるという話は聞いていたが、世界を覆った程の水量をどのようにしているか疑問だった。



近衛

「……景観はなるべく損ねてくれるな、つってたが……」



[utako] #ある意味、圧巻であった。南部だけは気候が違い、万年冬の世界であったため寒気を抑えてくれて頼もしいが中がどんな世界に変貌しているのか検討もつかない。



パッハロ

「一応、警告しておきますか?」

近衛

「いや、良いさ。こういう物があっても悪かねぇ」



[utako] #登山でもするような大きなリュックを持った女は小さく鳴いて頷き



近衛

「それよか、そろそろ日が暮れる。明日には壁を間近で見に行きてぇし、早めに休むか」



[utako] #地平線に見えるあまりにも巨大な壁は遠近感を狂わせて近くにあるように見えたが、まだまだ遠い。



パッハロ

「クェ。料理は私が、コノエは宿舎を」

近衛

「あいよ。この辺りは……どう変化してんのか解らねぇからな、ちょいとダミーと壁も作っておくか」



[utako] #地下に空洞がないか、地面を杖で叩きながら検査してから1時間程かけて壁と家を造り上げる。
[utako] #建材に使った岩を採掘した穴は堀に、壁を築き、ダミーの家も建てると宿舎と言うより小さな集落にも見えた。
[utako] #蛍を放ち、宿舎に明かりを灯される頃には徐々に日が沈んでいった。



近衛

「2人で野宿なんてな、いつ振りだ?」

パッハロ

「私が覚えている範囲では、ハクが通れない洞窟を探索している最中にカゲが一人で迷子、あえなく途中の休憩ポイントで待機する事になった時以来です」

近衛

「あれは切羽詰り過ぎて野宿より避難だったじゃねぇかい……、こう二人でのんびりすんのは、カゲと会う前までか」

パッハロ

「そうなりますね。私にとっては……産まれる前、25年以上前の話になりますが近衛に取っては最近の話の感覚でしょうか?」

近衛

「最近なわけあるか。お前らが100年とちょいぐらいで死んだ後、俺が何百何千年と一人で生きてたと思う。200年も過ぎた頃に色々分け解らなくなっちまったが……」

パッハロ

「現実世界ではつい半年前ですよ」

近衛

「時間ってのは振り返ると虚しいさなぁ」

パッハロ

「まぁまぁ、どうですか? 今日は昔に戻って、二人で寝るのは」

近衛

「人の姿はやめてくれよ。羽毛が恋しい」

パッハロ

『クェ』



[utako] #目を瞑ればそこには、大きな鳥と、襤褸を纏った灰色の髪をした賢者の姿があったという。


時系列


2013年2月初頭

解説


飯砂山教授の侵攻以来の世界の変化の調査

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