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狭間06エピソード集

エピソード『電話越しのマリッジブルー』


目次


エピソード『電話越しのマリッジブルー』

登場人物

本宮美絵子
本宮幸久の妻。すっかり主婦業が板についた奥様。
仲本佐緒里
かつては恋のさや当てみたいなこともした事がある美絵子の友人。このたび結婚します。

本文

[Hisasi] #一月の某平日

美絵子
「……ふぅ」

[Hisasi] #よいしょと掃除機しまって
[Hisasi] #娘二人が幼稚園いってる間に洗濯と掃除をすませつつ
[Hisasi] #旦那は年明けからまあそこそこ仕事

美絵子
「お昼は済ませたし、あの子達迎えに行くまであとちょっとあって……

[Hisasi] #で、娘っ子帰ってきたら寝付くまで自由時間は無し
[Hisasi] #旦那がたまに面倒みてくれなくもないけどまあ期待はほとんどできない

美絵子
「……あー中途半場」

[Hisasi] #ちょっと出かけるには時間足りないしぼんやりお茶飲んでつぶすにはちょっと長い
[Hisasi] #そこに

SE
とぅるるるる
美絵子
「ん?」

[Hisasi] #電話とって

美絵子
「はい、本宮です」
佐緒里
「いかにも奥様って感じよね」
美絵子
「はあ?……なによアンタ、珍しい」

[Hisasi] #高校時代の友人からの電話

佐緒里
「人のこと言えない落差よね」
美絵子
「大きなお世話よ」

[Hisasi] #昔は男(ゆっきー)めぐって火花を散らした遠い思い出

佐緒里
「まあ、なんてことはないんだけどね、ちょっとかけてみただけ」
美絵子
「なによ、妙にしおらしいじゃない。腹黒らしくない」
佐緒里
「その口ぶりといい、あんたに腹黒言われてもお互い様って感じよね」
美絵子
「ケンカ売りに電話してきたわけ」
佐緒里
「……違うわよ、まあ、なに、報告」
美絵子
「報告?」
佐緒里
「まあ年末の話なんだけどね、その……籍をね」
美絵子
「え?」
佐緒里
「ああもう、入籍したのよ。一応報告ってやつ」
美絵子
「アンタが?というか付き合ってる相手いたとか全然知らなかったわよ、いつから?どこの人?」
佐緒里
「まあ、知り合ってからは二年ばかしで付き合ったのは半年前なんだけどね、その……まあ、ひょっとしたら面識あるかもだけど」
美絵子
「へぇ、アンタもついにね。ま、おめでとって言っとくわ」
佐緒里
「ありがと」

[Hisasi] #そういいつつも電話の向こうの佐緒里は少し様子が違ってて

美絵子
「それで、なんか溜め込んでるもんでもあるの?」
佐緒里
「……別に不満とかそういうのはないんだけどね」

[Hisasi] #小さく息をつく

佐緒里
「仕事さ、ちょっと一線退くのよ、あたし。ずっとガツガツ仕事しててさ、でも結婚がいい機会だからちょっと調整したいって思って」
美絵子
「なんか言われたりしたの?」
佐緒里
「まあ色々ねぇ、というかまあさんざん働いてきてこういうときって会社ってドライねーっていうのはしみじみ」
美絵子
「辞めるの?」
佐緒里
「正社員から契約社員に変えて時間を減らす感じ?まあ稼ぎが減るのはしょうがないし、そんなわがまま言えるほど仕事とれてるわけじゃないしね」
美絵子
「アンタって学生卒業したらとっとと結婚しちゃうタイプだと思ってたけど、案外そうでもなかったわよね」
佐緒里
「お互いさま、あんたって女の中で面倒見いいから将来職場でお局とか呼ばれるタイプだと思ってたわ」

[Hisasi] #お互い思ってるのと真逆だった

美絵子
「……思うとこ、色々あったりするの?」
佐緒里
「あるんだかないんだか」
美絵子
「旦那さんはなんて?」
佐緒里
「仕事内容変えるのは反対しなかったし、時間の余裕増やしたいってのを大事にしなよって。まあ専業とかは無理だけどね」
美絵子
「ならいいじゃない」
佐緒里
「ねえ」
美絵子
「なに?」
佐緒里
「……なんかね、今になってマトモに妻稼業できるか微妙な気がしてきて」
美絵子
「妻稼業って何よ稼業って」

[Hisasi] #ソファにでんと座って背にもたれつつ

美絵子
「つまりあれね、不安ってことね」
佐緒里
「その鬼の首を取ったような言い方がちょっとひっかかるけど」
美絵子
「ちょっとは素直になれば?」
佐緒里
「……確かに、なんか先のことがさっぱりわからないからかも」
美絵子
「今になってマリッジブルーってやつ?まああたしも経験なくもなかったけどね」
佐緒里
「あんたんとこの経験談は全く参考にならないからそれ」
美絵子
「…………まあ、それはね」

[Hisasi] #結婚式にあんだけ大騒動おこしたしなあ

佐緒里
「逆に、あんたんとこみたいに盛大にやらかしてれば肝が据わったかもね、ひっこみつかなくて」
美絵子
「うっさいわね」
佐緒里
(電話の向こうでくすくす笑ってる)
美絵子
「……つまるとこ」

[Hisasi] #はーっと息を吐いて

美絵子
「なんか愚痴ってスッキリしたかっただけってオチ?」
佐緒里
「そうかもね(くすくす)」
美絵子
「はいはい、お役に立てましたならどーーーも」
佐緒里
「まあ、報告したかったのも事実よ。ま、表面だけの知り合いや仕事仲間よりはあんたのこと信用してるからってことにしといてよ」
美絵子
「まあね、あんたと話すのはあたしも嫌いじゃないわよ」

[Hisasi] #女の悪友同士は意外と続く

佐緒里
「あんたの方は」
美絵子
「まあ、まーまーってとこね。良いこともあれば面倒なこともあるし」
佐緒里
「あんたんとこって絵に描いたように幸せな家庭って見えるけど」
美絵子
「まあ、その分家庭を維持する為に払ってる犠牲もあるってことよ」
佐緒里
「なるほど、ね」
美絵子
「……お互い色々ってこと、か」
美絵子
「そうね」

[Hisasi] #お互い、ふぅ、と

美絵子
「ねえ」
佐緒里
「何?」
美絵子
「今日見たいに余裕のある時間って増えたりする?」
佐緒里
「そうね、時間は割と都合つくけど」
美絵子
「じゃ、たまには付き合ってあげてもいいわよ、気晴らしとか」
佐緒里
「なにその上から発言」
美絵子
「気晴らしに付き合えって言ってるのよ」
佐緒里
「えっらそうに、自分が気晴らししたいだけじゃない……付き合ってやってもいいけどね」
美絵子
(なんかおかしくて笑ってる)
佐緒里
(くすくすくす)

[Hisasi] #女同士の歯に衣着せない会話

美絵子
「ま、今度旦那さんのこと聞かせてよ、結婚までの色々とか」
佐緒里
「いいわよ、そんな面白い話もないけど」
美絵子
「じゃまたメールでもいれといてよ、アドレス知ってるでしょ」
佐緒里
「了解。ま、今日は…………ありがと」
美絵子
「はいはい」

[Hisasi] #女同士でツンデレ応酬

佐緒里
「じゃ、またね」

[Toyolina] #き

美絵子
「それじゃ、メールしなさいよね」

[Hisasi] #電話終了

美絵子
「……あの女、めんどくさい奴よねえ」

[Hisasi] #ふぅ

佐緒里
「相変わらずよね、あの女」>同時刻、ため息ついてる

[Hisasi] #女同士のツンデレ友人づきあいでした

時系列

2013年1月の某平日

解説

久々にかかってきた旧友からの電話。結婚の報告。学生時代の予想とはお互い真逆になったけど、幸せなのでよし。
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