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HA23VOL2← →[HA06P]エピソード『お風呂上りに』
投稿者: arca ( BaySide23 BaySide23エピソード集 狭間 : 2013-01-15 01:27:08 )
[arca] #数刊の新聞をポストから引きずり出し、そそくさと事務所に戻る
[arca] #暖房を最大にし、珈琲を淹れつつ新聞を広げた
[arca] #物騒な事件を斜め読みし、全ての新聞と記事に眼を通していく
[arca] #雑居ビルの建ち並ぶ小路に、全力で駆け抜ける男の姿があった
[arca] #男は人の気配を探す
[arca] #普段ならこの辺には人の往来が絶えないはずだ。しかし、今に限って人っ子一人見当たらない
[arca] #男は焦った
[arca] #それに、妙だ。男はこの辺の土地勘がある。むしろ、庭のようなものだ。
[arca] #男は大雷の激しい目抜き通りに向かっているはずだった。だが、その意思に反して男は徐々に繁華街とはかけ離れた細い路地へと迷い込んでいった
[arca] #男の期待とは裏腹に、大通りは見えない。それどころかビルの隙間のような街の深淵に飲まれていく
[arca] #だが歩みを止める訳にはいかなかった。追いつかれてしまう
[arca] #男から少し距離を置いて、ぴったりとついて来る足音
[arca] #ヒタヒタ、カツカツ。そのどちらとも聞こえるような不気味な足音が男を追随していた
[arca] #息が切れてきた。このままではやがて追いつかれてしまうだろう。人気は一向に感じられない
[arca] #男が壁を突き飛ばすように路地を曲がったとき、彼は焦った
[arca] #道はついに途絶え、目の前にはビルの壁。袋小路。
[arca] #なかばパニックに陥り、きょろきょろと辺りを見回す
[arca] #しかし抜け道も、見を隠す場所すら見当たらない。
[arca] #男が喚き散らした矢先。その真後ろでジリ…、と地を踏みしめる気配が。そして
[arca] #悲鳴と凄惨な衝突音ともに、倒れる男
[arca] #力を失ってと言うより、衝撃で無理矢理地に打付けられるように倒れる。
[arca] #それでも男にはまだ意識があった。陸に上げた鰻か鯰のようにゆっくりとのたうち回る
[arca] #朦朧、混濁する意識の中。男は天を扇ぐ
[arca] #男の目にセーラー服の少女が映る。場違いな服装。表情は影に染まり伺うことはできない。
[arca] #しかし、一瞬。不気味に少女の白い歯が見えた。
[arca] #不気味な、裂けたような笑み
[arca] #少女が鈍器を振り上げる姿と、その笑みが眼に焼き付く。そして、男の意識は永遠に途絶えた。
[arca] #男はその数時間後にしたいとして発見された
[arca] #人通りは少ないが、決して人目につかないような場所ではない道の中央で
[arca] #犯行の手口からここ数ヶ月の間に起きている連続撲殺事件との関連が濃厚と位置づけられる
[arca] #新聞もありふれた政治ネタから、この事件へと差し替える事となった。
[arca] #この街に住む人々の心に、ささやかな恐怖が吹き込む。
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