ど素人から職業クリエーターまで、TRPGと創作で架空世界を楽しむコミュニティ。TRPG+PBW+キャラチャ+創作。


狭間06エピソード集

エピソード『逃走者』




目次





エピソード『逃走者』


登場人物



少年

生きている時間だけは長い吸血鬼の真祖。中身はポンコツも良い所。

ブリジッタ洗馬清香

修道名ベルナデッタ。敬虔なカトリック教徒。

リスティヒ・リヒトホーエン

修道服の男。吸血鬼狩りの聖銃使い。

ウィドウ

喪服の女。吸血鬼狩りの未亡人。テレサは表の仕事用に付けられた修道名。


逃走者



少年

「はぁ、はぁ」



[TK-Leana] # 月のない夜。
[TK-Leana] # ビルの灯は消え、人通りの絶えた吹利本町の路地。



少年

『ここまで来て……』



[TK-Leana] # 足をよろめかせて、電柱にもたれかかると。雷光を纏った銃弾が銃声無しにバチッと弾ける。



少年

『ひっ!』



[TK-Leana] # 慌てて別の路地に飛び込むと、後を追うようにバチッバチッと雷の銃弾がコンクリートの壁を撃つ。



修道衣の男

「Scheiße! この銃使えねえ!」

喪服の女

「銃のせいにするだなんて聖銃の担い手も堕ちたものね」

修道衣の男

「術式で雷纏わせるせいか、まっすぐ飛ばねえんだよ。精密射撃が出来んのは精々10m程度だな」

喪服の女

「なら、街中で聖銃を抜く?」

修道服の男

「流れ弾でえらい事になるな……」



[TK-Leana] # チッと舌打ちする



修道服の男

「にしても、あれがターゲットで本当に合ってんのか?」

喪服の女

「連絡員の報告が確かなら。評判を聞いて楽しみにしてたのに、興ざめだわ」

修道服の男

「どころの話じゃねえだろ。ローマカトリック最大の怨敵……の尻尾、影を縫う者……俺は、魔王とでも戦うつもりで準備してたんだがな」

喪服の女

「にしては、使えない銃なんか持ちだして見事に外してたわね」(くすくす)

修道服の男

「市街戦用の隠密礼装なんて、普段使わねえんだよ」



[TK-Leana] # 憮然として



喪服の女

「まあ、あれが本当にそうであるかどうかはどうでも良いわ。吸血鬼だから殺す、それで良いじゃない」

修道服の男

「……ふん。そうかもな」


潜伏



少年

『はぁ、はぁ、ふぅ……』



[TK-Leana] # 手近な塀を乗り越えて、建物に忍び込み、一息つく



少年

『なんでこんな東の果てにあんな化け物が居るんだよ……聖銃に未亡人? 最悪の取り合わせじゃないか畜生』



[Toyolina] #リス先輩と段平さんの出番が終わってしまった
[TK-Leana] # 段平さんっていうと、頭にドッジって付けたくなりますね
[Toyolina] どっじだんぺいとは



SE

ぱたぱたぱた

少年

(はっ)



[TK-Leana] # スリッパの足音が聞こえて、身をすくませる



少年

『(住人……起きてきたのか! 朝までやり過ごしたかったのに。どうする、ここで騒がれると終わりだ……)』(懐に隠した、小さなナイフを握る)

少年

『(どこか、隠れられる場所は……)』

ベルナデッタ

「どなたか、いらっしゃるんですか?」(燭台を掲げて、廊下から覗き込む)

少年

(ビクッ)

ベルナデッタ

「あら……」

少年

『う、動くな!』(へっぴり腰でナイフを前に構えて)

ベルナデッタ

『ラテン語の、口語ですか。申し訳ありません、聞き取りにあまり自信が無いので、書き言葉で話していただけませんか?』

少年

『こ、言葉が通じる? い、いや。喋るなよ。朝になれば出て行くから、頼むから大人しくしてくれ』

ベルナデッタ

『まあ、何をそんなに怯えているのですか?』

少年

『な、何をって……』

ベルナデッタ

『私はこの通り、武器も持たない非力な女です。どうか、心を落ち着けて下さい。ここは神の家ですから、貴方を害しようとする者はおりません』

少年

『神の……きょ、教会!?』



[TK-Leana] # 吸血鬼ハンターから逃げてたらいつの間にか教会に迷い込んでいたでござるの巻



ベルナデッタ

『はい、どうか致しましたか?』

少年

『ち、近づくな!』

ベルナデッタ

『?』



[TK-Leana] # 錯乱して振りあげられたナイフが、飛んできた短剣に弾き飛ばされる



少年

『あッ!』

喪服の女

『フフ、貴方、喜劇の才能があるわね。流石、古代ローマ生まれだけあるわ』

ベルナデッタ

『シスター・テレサ?』

喪服の女

『下がりなさい、シスター・ベルナデッタ。それは私の獲物』



[TK-Leana] # 頑丈なだけが取り柄の武骨なブロードソードを片手に、ふらりと少年に近づこうとする。



少年

『ヒィッ!? く、来るな!!』

喪服の女

『……どういうつもりかしら、シスター・ベルナデッタ?』



[TK-Leana] # かばうように、ベルナデッタが立ちふさがる。



ベルナデッタ

『それは私の言葉です、シスター・テレサ。教会での狼藉は許しません』

喪服の女

『言わなかったかしら。そこにうずくまって居る害虫は吸血鬼、しかも、ローマに火を放ち、無辜の信徒たちを虐殺した皇帝ネロの犬。教会からローマの怨敵のあだ名を付けられた最悪の手合いよ。もっとも、噂ばかり独り歩きして拍子抜け甚だしいけれど』

ベルナデッタ

『「――あなた達の中で罪を犯した事のない者が、まずこの女に石を投げなさい」』

喪服の女

(眉根を寄せる)

ベルナデッタ

『仮にそれが事実であったとしても、私たちが彼に石を投げて良い理由にはなりません。違いますか?』

喪服の女

『教会の決定に逆らうというの?』

ベルナデッタ

『人が信仰を捧げるのは、主、イエス・キリストにであって、教会にではありません』

ベルナデッタ

『そもそも……教会の決定と言っても、教皇聖下が公的にそのような決定をする事はあり得ないでしょう』

喪服の女

『生ける屍の存在については、コンスタンツ公会議で正式に確認されているわ』

ベルナデッタ

『吸血鬼狩り、人狼狩りについては現在では禁止されています』

喪服の女

『それはあくまで建て前……でなければ何のための騎士修道会だというの?』

ベルナデッタ

『建て前であれそうである以上、私は教会に反するわけでも、信仰に反するわけでもありません』

SE

ヒュッ



[TK-Leana] # ベルナデッタの喉元にブロードソードを突きつける。



喪服の女

『……私としては、あなたはそこの害虫のレンフィールドになった事にして、諸共に切り捨てても良いのだけど』

ベルナデッタ

『貴方はそのような事をしません』

喪服の女

『脅しだと思ってるの?』



[TK-Leana] # 力を込めて、剣を押し込む。つぅーっと一筋だけ血が流れる。



ベルナデッタ

『いいえ、でも分かります』

喪服の女

『何故?』

ベルナデッタ

『ここは神の家で、貴方も天にまします父の娘ですから。そう信じられるんです』

喪服の女

『……理由になってないわ』



[TK-Leana] # 呆れたように言って剣を降ろす



喪服の女

「貴方、苦手よ私。勝手になさい、上には取り逃したと言っておくわ」

ベルナデッタ

(深々と頭を下げる)

ベルナデッタ

(振り返って)「さあ、貴方もそんな所では寒いでしょう。居間にはストーブがありますから……あら?」

少年

(……ちょろちょろ)

ベルナデッタ

「まあ……」



[TK-Leana] # もらした


時系列


2013年1月

解説


教会の殺し屋に追われ、逃げる吸血鬼の少年。逃げた先もまた教会で……

The following two tabs change content below.
アバター画像

月影れあな

ログ切り人。IRCでのNickはTK-Leana。 思いつきでキャラメイクしては一発ネタで終わることが多いため、参加者ページのキャラクターリストは出オチキャラの墓場になっている。
コメント一覧

コメントはありません。

この記事にコメント

*

*

トラックバックURL