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狭間06エピソード集

エピソード『死の香』




目次





エピソード『死の香』


登場人物



渡部祢黒
死を運ぶ鴉の神の末裔である、ドルイド。

封来童子
バトルマニアの子鬼。

秋葉山小鉄
射撃部の部員。涙もろい奴。


本文



祢黒
「黒い風が泣いているわ……」

小鉄
(口からロールパン落ちた)

小鉄
「……何が泣いてるって?」

祢黒
「風よ……あなたには感じ取れないのかしら」

祢黒
(オーク材のティン・ホイッスルで風の憧憬を吹き始める)

小鉄
「湿度は高い、よな……、雨振りそうな気もするから、大泣きの前の愚図り泣きな感じはすr……、俺の話聞く気ないだろテメェ」(笛吹き同級生を横目に

封来
「んご……」

祢黒
「……誰か一人、死ぬわ。もうすぐ」

小鉄
「怖い事言うなよ。飯食ってる時に……」(ロールパン拾って汚れを払ってから、また齧る)

祢黒
「私には分かるの……」

封来
「オマエの腹の中で何万という虫が死んでは生まれてるのじゃ」(コテツを指差し



[arca] #オマエの腹の中でも



小鉄
「そんな1秒間に世界中で何千人と言う命が失われているのです、みたいな話じゃないんだろ。……近所?」

祢黒
「ええ」

小鉄
「何で死にそうなのか解んの?」



[utako] #何が原因で死にそうなのか、と言う意味で



祢黒
「老いと、病ね」

封来
「それではどうしようもないな」

小鉄
(手にしてたパンをがつがつと咀嚼して飲み込み)「場所が解んなら、俺は行くだけ行ってみるわ」

封来
「線香の臭いの染み付いた坊主が見舞いにいくのか?」

小鉄
(どんだけ鼻が良いんだよ、と顔を顰めて)「見舞うかは解んないな。家族が回りに居るなら直ぐに帰ってくるし」

封来
「そうか、がんばれ。我がいくとそれこそ禍々しいと言われかねんからの」

祢黒
「そう。では、私も行きましょう。ついてきなさい」

封来
「なんじゃ、御主もいくのか……それは寂しいからやっぱりいくぞ」

祢黒
「私が行かないと場所も分からないでしょう」

小鉄
(今際の際にリーゼントも禍々しいか、と若干気にしつつ)「寂しい>禍々しい、なんだな……」

封来
「まあな」(かか

祢黒
「こちらよ」

小鉄
「おうおう」



[TK-Leana] # 妖精の道に入り、よくわからない森の中を進む



小鉄
「……」(未知の領域には未だドキドキしつつ、離れないように祢黒の後ろをついていく)

封来
(いつの間にか女児の姿になっている

祢黒
「ここね」



[TK-Leana] # 結構立派な屋敷。家人が居ないという事は無さそう



小鉄
「ついたのか? ……」(いつのまにか入れ変わってる女児に、妖精の誘拐とか、先輩から聞いたそんな話を照らし合わせて考え……入れ替わっちゃったかぁ……なんて考えて別れを惜しんでる)

封来
「でかいのう。おお柿の木じゃ、秋頃は良い実がなりそうじゃの」

小鉄
(声を聞いて、惜しむのをやめた。)「……なんだ、変身しただけかよ……ビビった……」

小鉄
「金持ちの家じゃん。そう心配する事もなかったか……?」



[TK-Leana] # 屋敷の前の掘で、女が泣きながら衣を洗濯している



封来
「女子が泣いておるぞ」

祢黒
「高貴な家の者が死ぬ時にはそういう者が出るのよ」

小鉄
「……あんまり聞きたくはないけどさ、そう言う者って?」

祢黒
「ああいう者よ」

小鉄
「怖いぼかし方すんなよぉ……、じゃぁ何、あの人って泣いてるゆ、幽霊とか、普通は見ちゃいけない系? ホラー系?」

祢黒
「害は無いわ」

小鉄
「なくても怖いんだよぉ!? ……とと、俺落ち着け……、で、で、それで、死に掛けの、その爺さん? 婆さん? ……の様子とか、解らないか?」

封来
「我とかもほんとは見ちゃいかんのじゃぞ」

祢黒
「見に行きたいの?」

小鉄
「見に行きたくはないっつの。こんだけ良い家なら……、知り合いとか家族とか見に来てるかもしれないし、静かに息を引き取りたいってなら別だけどな」

小鉄
「妙な事知って、ここまで見に来て、よく解らないで帰るってのも何か嫌だろ」

封来
(首をひねっているが何か言う気配はない

祢黒
「それじゃあ、これを口に含んで、息を止めなさい。止めている間、貴方の姿は見とがめられないわ」



[TK-Leana] # 何かの白い欠片を渡す



小鉄
(受け取り)「……これが何か、あんまり聞かない方が良いやつ?」

祢黒
「ただの、山羊の骨よ」

小鉄
(一応、手を合わせてから口の中に放り込む)「……準備OK」

封来
「喰われるなよ」

祢黒
「では行きましょう」



[TK-Leana] # 堂々と、翼を広げて飛びあがる



小鉄
「え、ちょ、今の何だ。何に食われるの? それより待てぇ! 俺は飛べねぇんだからな!」(息を止めて塀を越えてついてく

封来
(古いアニメでみたような変なポーズをとった後普通に歩き出す



[TK-Leana] # 大きく開いた縁側のある座敷の奥に布団を敷いて、老人が眠っている



小鉄
(物陰に隠れて呼吸を整えてから、覗き込んで様子を見る)

封来
(ふぃ〜っと壁抜けしてきた

祢黒
「戦士の魂ね。私が気付くはずだわ」

小鉄
(横になっている老人に、知っている誰かの姿を重ねて……暫く見ていたが)「……戦士の魂?」

封来
「なかなかの皺の持ち主」

祢黒
「言った通りよ。あの人は戦士だわ」

小鉄
「……戦士か」

小鉄
(あまりよくは解っていない様子だったが、何を思ったのか縁側から上がり、老人の布団の脇まで歩いていく)

老人
「……」

小鉄
(老人の様子を見ながら正座をして座り)「……あ、……お邪魔します」

小鉄
「……(聞こえてないか。……聞こえてても黙って塀越えてるんだよな。もう)」

小鉄
(布団は手入れされているか、部屋は綺麗か、とそんな所を観た後にまた老人を観てから一礼して、部屋を出ていく)

老人
「何者じゃ」

小鉄
(ビクゥ)「……と、通りすがりの……学生ッス」

老人
「迎えが来たのかと思ったぞ。そこの二人も」

小鉄
「……バレてんじゃん」

封来
「似たようなものじゃ」

祢黒
「ええ。私は死人の臭いに引かれて来た烏よ」

老人
(喉の奥でくつくつ笑う)

小鉄
(布団から少し離れた所に戻って、正座で座り直し)「……はっきり言うんだな。」

老人
「むしろ遅すぎたくらいだ。それにしても、彼岸からの使いが学生と鬼と烏とはな」

封来
「全部そこの学生のせいじゃ」

小鉄
「寂しがってついてきた癖に……じいちゃん、途中からは綺麗な姉ちゃんが同伴してくれるよ。今はどこもサービス充実してるって言うし」

老人
「かか、風俗みたいな言いじゃな」

小鉄
「戦士の魂に引かれて祢黒みたいな……のが来たんだぜ。多分、もっとヨーロッパの色々大きい女の人も見れるって」(若干声を抑えつつ

封来
「それはオマエの趣味じゃろ」

祢黒
「土地の者が持って行くでしょうし、なんとも言えないわ」

封来
「どこに逝くかは分らぬが、英霊達と会うてゆくのかの?」

老人
「約束だからなあ」

小鉄
「古い馴染みってやつとの?」

老人
「おう。俺だけこんなとこまで来ちまったからなあ。大分待たせてるが」

小鉄
「……もう未練とかないの?」

老人
「曾孫まで抱いときながら未練があるなんて言ったら、我儘が過ぎるわ」

小鉄
「そっかそっか……なーんだ、大丈夫なら良いや。変に心配して損したぜ。」(悪坊主な笑顔で、バサバサと後ろ髪を掻き)

老人
「お迎えさんに心配されちゃたまらんな」

封来
「まっことじゃ」

小鉄
「うるせえな……」(クッソ、と恥ずかしいそうに悪態ついて)

祢黒
「そろそろ行くわよ。人の気配がしてきたわ」

封来
「うむー。往生せいよ」

小鉄
「おう。……それじゃあ、じいさん。さいなら。騒がしくしてすみませんでした」(礼を忘れず、小走りで縁側に向かう

老人
「ん……」(軽くうなずいて見送る

小鉄
(家の者にバレない位置まで離れてから、山羊の骨を口から出す) 「……、んじゃ帰ろうぜ」

祢黒
「あなた、意外とお人好しなのね」

小鉄
「……あれってお人好しなのか?」

封来
「うむ、しかも少し度が過ぎる程度のじゃのー」(かか

小鉄
「俺が、爺ちゃんと婆ちゃんが死んだ時の事覚えてなくて、それでただ人が死ぬ所に興味があったーとかだったらどうすんだよ……、それに、静かに死にたいって言う爺さんだったら、完全に邪魔じゃん俺……」

封来
「自分で行こうと言い出しておいてすねる出ないわ」

祢黒
「お人好しなんて生き物は大体そんな者よ」

封来
「悪鬼共の事は知らんが、普段なら人間の生き死なんぞに感心は向かんかったからの。普段とは一風変わった心持ちじゃ」

小鉄
「……ちょっと気分変わったのは、同意だわ。俺もあんな感じの老後が良いわー、羨ましいわー」(ちょっと鼻を啜りつつ)

祢黒
「泣いてるの?」

小鉄
「泣くかタコ! 別に悲しいとかそう言うのなかっただろ。爺さんは一人寂しく逝くでもないし、部屋も布団も綺麗にされてて、ちゃんと周りが面倒見てて……良い事ばっかじゃん。良い事ばっかだったから……泣いてねぇよ!」



[utako] #ガー! と声を出しながら適当な方に走って行った。



封来
(げらげら

祢黒
「子供ね。素直で良いわ」

封来
「迷子になる前に追いつかねばなー」

祢黒
「そうね。ここではぐれると再開できるのは100年後になるかもしれないもの」



[TK-Leana] # 妖精の世界は怖い
[utako] #涙もろいマルコメだった
[utako] #マルコメちゃう子鉄
[arca] #こてっちゃん

時系列


2013年7月

解説


妖精の血に刻まれた本能的なもので、死を感じ見送る祢黒。言動は血のせいでは無く、純然たる趣味の問題。

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月影れあな

ログ切り人。IRCでのNickはTK-Leana。 思いつきでキャラメイクしては一発ネタで終わることが多いため、参加者ページのキャラクターリストは出オチキャラの墓場になっている。
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