狭間06エピソード集
エピソード『落下物注意~3話『失せ物』~』
目次
- 佐藤火星
- 超重量級中学生
- フォビア
- 火星と同じく混血種の少女
- 佐藤木星
- 佐藤火星の妹。実は魔法使い
- 佐和山伊織
- アルバイター。性格はひねくれているが根は真面目。
- 五郎丸亟利
- 強襲部隊。赤い着物を着た2つの異能を持つ女。
- ブラッド・ジキル
- 強襲部隊。亟利に従う異形の袋。
- 大刀洗鳴狐
- 強襲部隊。亟利の部下。
- 佐和山藍理
- 強襲部隊。亟利の部下。
- フォビア
- 「マァ。背中に……何もない」
[utako] #野良犬臭が石鹸の良い香りになるぐらいに徹底的に洗われた。
- 火星
- 「フーちゃんの背中には、何ていうか……何だろう……あるよね」
- フォビア
- (んー! と踏ん張ると肩甲骨と腰についている甲殻が水飛沫を飛ばして振動した)
- 火星
- 「ひゃっ!? ぷわっ!!」(ぴしぱしと飛んでくる水飛沫に堪らず目を閉じ
[utako] #まず初めに、撥ねた水滴の動きが緩くなり、タオルやシャンプーボトル等の軽いものが浮き、最後に火星の体がふわりと浮いた。
- フォビア
- 「浮くの。これでお家から出てきた」(両手を挙げて、無重力空間になったお風呂場の中で軽く跳ねる
- 火星
- (湯船から出ていく大量のお湯に呑まれて溺れ掛けてる)「ゴボォッ!?」
- フォビア
- (ケタケタ笑って湯船の中に入るが、薄い膜に覆われている様にフォビアの体の表面には水が付着しない)
- フォビア
- 「マァ出来ないの? バリアー」(両手を挙げると、薄い膜の表面が煌く)
- 火星
- 「(バ、バリ……? バリア? そんなの……出来ないよぉ)」(手足を突っ張って体勢を保ち、ぶんぶんと首を振る
- フォビア
- 「……マァ、不器用?」
- 火星
- 「(結構不器用です! フーちゃん、止めて!)」
- フォビア
- (泳いで火星に抱きつき、バリアを伝染させた)
- 火星
- (バチバチと身震いして、ソフトとマニュアルをインストールされたように……頭の中に構築能力が浮かぶ)
- 火星
- 「……11次元の、……観測……、接触……伝達……」(目を丸くしながらフォビアを見る
- フォビア
- 「やっぱり、マァとフォビアは一緒」(にへっと笑い、ぎゅーっとしがみ付き
- 火星
- 「……」(体を包む薄い膜を見ながら体を浮かせて、くるくると回る
- フォビア
- 「でも、フォビアになくって、マァにあるもの……」
- 火星
- 「腕……じゃないよね。何?」
- フォビア
- (何だろうコレ……と目の前のおっぱいを触ってる)
- 火星
- 「……」(言葉も無い
- 火星
- 「そ、そろそろ上がろっか。それで……変な人が居ないか、家の中から外を監視しよう!」
- フォビア
- 「おー」(むにむに
[utako] #夜も更けた頃、監視を切り上げて帰ろうとした伊織の元に連絡が届く。
[utako] #詳細は伏せられているが対象からの退避命令。少なくとも300m以上は離れる様にと注意が加えられた。
- 伊織
- 「……?」(不思議に感じつつ、すでに切り上げるつもりだったためそのまま命令に従い退避を始める
[utako] #眠気を抑えて明日の授業の事を考えていると、いつの間にか、周囲を霧が多い始めていた。
- 伊織
- 「……3年生に撤退が出てるっつーコトは、高校級か……社会人が出張るのかにゃー……」
- 伊織
- 「(ガキ1人に……思ったより大事になってねー?)」
[utako] #伊織は携帯を開き、ある所に連絡を取ろうとするが少し迷ってから携帯をポケットに仕舞う。
- 伊織
- 「……3年の時期に巻き込むっつーのも。考えもんだし……どーせ言わなくても巻き込まれるヤツは巻き込まれるし……ってコトで、伊織ちゃんは帰るの止めて……ちょっと様子見する事にしよーかな」
[utako] #あまり話した事はない、むしろ数時間前には仕事の邪魔をされて腹が立っていた後輩だが、見守る事にした。
[utako] #同じ頃、2階で周囲の監視をしていたまことがドタドタと、風呂場に乱入していた。
- 火星
- 「うひゃっ!? な、あ、あれ? 起きてたの? まこと」
- フォビア
- 「まこと。マァの……妹?」
- 火星
- 「うん。この子まことで……あ゛。ま、まこと、この子はえっと、えっと……」(ハッとしてフォビアを透過しようとするが
- まこと
- 「わかってるから、火星、早く服着て、そのこには私の貸すから」
[utako] #いつもは物静かなまことが火星に対して「じゃま」「でかい」「どけ」以外にものを喋ったのは数日振りだった。
- 火星
- (若干の感動に浸っていたが)「え? ……えっと、え……うん。解った……フーちゃん、出よ」
[utako] #感動に浸り切る前に表情の薄いまことから切羽詰ったような雰囲気を感じて、火星も急ぐ。
[utako] #手早く体を吹いて着替え、髪もまだ乾かない内に、まことは火星とフォビアを家の一番奥である台所へと逃がす。
- 火星
- 「まこと……どうしたの?」
- まこと
- 「……誰か、いや……何か来そう。妙な霧が出てきて、私のトレーサーが妨害されてるし、最後は二階の私の部屋、火星の部屋、玄関、車庫の4方向からの進入経路が視えた……最低4人来る」
- 火星
- 「ま、まこと? ……何言ってるの?」
[utako] #火星も全て理解できていないわけではない。しかし学校のあの部活の出来事ならまだしも、今は自宅で、喋っているのが日常に生きていると思っていた妹だった。
[utako] #フォビアの方がまだ受け入れている様子で、まことの顔をじっと見ている。
- まこと
- 「うっさい! 今、どう逃げるか考えてるんだから……黙ってて」
- 火星
- 「まこと……」
- まこと
- 「ライトニングは今点検中だし……、でも、呼べば飛べるかも……あぁ、でも……ハクさんばらすって言ってたし……、山の中に逃げるのは危ないし……、どうしよ……どうしよ……」
- 火星
- 「だ、大丈夫だよ。お姉ちゃんがついてるから、こう見えても大きいだけじゃないんだよ? それなりに強いんだから」(えっへんと、妹を元気付けるために胸を張る
- まこと
- 「だから、うっさいの!! あんたがやってるのは遊びでしょ! それも時間がある時に棒振り回してるだけの! こんな住宅地で結界張って来るヤバいの相手にした事あんの!?」
- 火星
- 「ないけど、平気だよ。お姉ちゃん頑張るから……それに、トーナメント部はただの部活動だけど、先輩と真剣にやってきたんだもん。大丈夫」
[utako] #子供ながらの不安に震えるまことを火星は震えながら抱きしめる。妹のこんな姿は初めてみた。それだけでも、事の重大さを理解するには十分だった。
- 火星
- 「うちの野菜室……大きいからフーちゃんと、隠れてて……できる?」
- まこと
- (頷いて)「……おいで、床開けるから……隠れよ」
[utako] #床の戸を引き上げ、その下にある収納スペースへ子供二人はすっぽり隠れた。
[utako] #火星は、効果があるか解らないが台所マットでしっかりと戸を隠して、使い慣れたフライパンを手に取る。
- 火星
- 「硬化……、あと、バリア……それに、毎日畑で鍛えている、この体!」
[utako] #よしと頷き、場所を移動する。そこまで広い通路も大立ち回りのできる部屋もない家の中だが、来る侵入者の誰よりも今の戦場に慣れている自信が沸いた。
- 火星
- 「……お父さんの作りかけのボトルシップ……壊したらどうしよ」
[utako] #視界の端に映ったそれを暫く見てから、戦いに集中することにした。内心少し謝りながら。
[utako] #数分が過ぎた頃、二階で少しだけ物音がした。
[utako] #どう言う理屈なのかは解らないがまことを信じれば、進入箇所は2階の姉妹の部屋に、玄関と車庫側。
- 火星
- 「(一番手は玄関……車庫からが次に早くて、二階からのグループは後続。それで……台所に行き着くには、リビングを通らないと行けないから……構えるなら、やっぱりここ!)」
[utako] #と、ドアの脇に隠れて不意打ちを狙うぐらいの作戦を本気で考え、ぴったりと壁に張り付いて息を止める。
- 火星
- 「(頭……当てたら危ないかなぁ……、でも、動き止めるには……脚?)」
[utako] #玄関からわずかな物音が聞こえ、やや遅れてリビングの扉が開かれる時まで火星の迷いは消えず。
[utako] #目出し帽を被った黒い防護服を着た男の鳩尾の辺りに、火星の中間を狙ったフルスイングが炸裂した。
- 火星
- 「(や、やった……?)」
[TK-Leana] # 負けフラグが
[utako] #倒れこんだ男の方を覗き込み、動かないのを確認するが……それよりも手に持っている鉄の塊に視線が行く。
[utako] #短くコンパクトな銃身に、携行の邪魔にならない程度に長いマガジン。火星に種類等解らなかったがMP5Kと呼ばれるサブマシンガンだった。
- 火星
- 「……」(サァーッ……と血の気が引いていく。
- 火星
- 「(見なかった事にしよ、見なかった事にしよ、見なかった事にしよ、見なかった事にしよ、見なかった事にしよ……!)」
[utako] #くるりと隠れ直してから、深呼吸すると先輩の言葉が頭を過ぎる。
[utako] #『使えるものは使いなさい。他人の物でも』
- 火星
- (身を乗り出して武器に手を伸ばすのは怖いので、男の脚を持ってリビングに引きずり込み、がちゃがちゃと装備を奪う)
- 火星
- 「あれ……手、取れないや……」
- 男
- 「ん……ぁ……」
- 火星
- 「わ、わぁー!? 起きちゃ駄目!!」(ゴンッ
[utako] #何とか男の手から銃器を奪うが肝心の使い方は解らない。元より銃口を人に向ける勇気が火星にはなかったが、武器を持っているというだけで少しだけ強気になれる気がした。
- 火星
- 「(この調子で、後……3人? ぐらい……へっちゃら、へっちゃら……だよね)」
[utako] #また同じ様に隠れて耳を澄ます。
[utako] #2階のグループなら、毎日火星が上り下りして軋んでいる階段を下りてくる。その時に解るはずだが、耳を済ませて聞こえてきたのは、真上からの話し声だった。
[utako] #くぐもって良くは聞き取れないが、とんとん、と数回ジャンプする音まで聞こえてきた。
- 火星
- 「……?」
[utako] #何かを発見したのか、発見されて困るものもないはずだが、不思議そうに火星が天井を見上げていると、バクンッ、とそこに丸い穴が開いた。
- 火星
- 「え……」
[utako] #そこから大きな継接ぎだらけの袋を担いだ、目立つ赤い着物姿の女性が降りてきた。
- ブラッド
- 『ッッゲェ、ウッゲェ、ペッペッ……まっずい物喰わせやがッて、五郎丸!!』
[utako] #垂れ下がった袋の下部、大きくそこに開いた口が今まさに消えた天井の一部を吐き出しながら毒づいた。
- 亟利
- 「こくりちゃんとお呼び、第9位。先生の頼みじゃなかったらあんたと何か組まないのに……って、あれ? ブラウンの……じゃなかった、ライオン? ……えっと、藍理くん伸びちゃってるじゃん」
[utako] #藍理と呼ばれた倒れている男の頭を爪先でつついてから、火星に視線を向ける
- 亟利
- 「メリークリスマース! 半年遅れのサンタさん登場! 良い子の元にプレゼントを届けにきたよ!」
- ブラッド
- 『ハッピィイ、クリスマァス! 靴下の中に溢れる程のプレゼント、ぶら下げてネェ悪い子には、おしおきがお待ちかねだぜぇい!!』
- 火星
- 「……」(完全に呆気にとられてポカンとしてる
- 亟利
- 「対象と似てるけど、確か子供……だったよね。あれ? ……ちょっとドコソコ大きくない?」
- ブラッド
- 『良いンじゃねぇ? 良いンじゃねぇ? 良いンじゃねぇ? 俺的にコレっぐらいの、パイ乙がネェと仕事なんてはっかどらネェし!? こくりちゃんのはもう仕事する気すら無くなっちまうしィ?』(ゲラゲラと下品な笑い声を上げて、袋は暴れる
- 火星
- 「……あ、あなた達の狙いはフーちゃん……フォビアなんですか?」
- 亟利
- 「そだよ。匿ってるならだして、暴れるとほら、怪我も増えるし……あ、別に私達悪い人じゃないんだよ? むしろ正義の味方っていうか、ね?」
[TK-Leana] # 説得力皆無
- 火星
- 「……フーちゃん、怪我してました。始めに、フーちゃんを追いかけてた人は、フーちゃんの事撃って痺れさせたりして……僕は、渡したく、ありません」(若干震えながら、フライパンを構える)
- ブラッド
- 『このオッパイ、ヤル気満々じゃねェのヨ。どーする、暴君たる偽王マイマスター、ベアハンド』
- 亟利
- 「喰べちゃ駄目よ。この子一応、一般人らしいんだから……あとの処理は担当に任せて、さっさと回収するよ」
[utako] #亟利がゆっくりと進むと、火星は咄嗟に台所を塞ぐ様に立ちはだかる。
- 亟利
- 「君って素直だねぇ」
- 火星
- 「悪い人には、あんまり見えないです……けど、駄目です!! 大きな子は、小さな子を守らないといけないんです!」(フライパンは捨てて、タックルをすべく走った。
- 亟利
- 「……マジで悪者っぽくない?」
- ブラッド
- 『今更感』
[utako] #火星は硬化能力を発動する。弾も刃も受け付けない重量100kgの全力の突進を止められるものはそうはいない。しかも広くは無い部屋の中で、長い両手を広げると回避は難しいものとなる。
- 亟利
- 「悪いね。後でちゃんと謝るからさ。今は私が受け止めるよ―――『武者返し』」
[utako] #亟利が袖から滑り出した扇子を掴んで広げて、ひらりと優雅に払うと、火星のタックルは真下へと受け流された。
[utako] #火星は顔面から床に突き刺さり、それでも勢いは殺されずに半回転して窓を突き破り、小さな庭へと転がっていく。硬化していたおかげで傷らしい傷はないが、火星は目を丸くしていた。
- 亟利
- 「今の……しんどいね。ボロ家ぐらいなら吹っ飛ばす勢いだったよ。」
- 火星
- 「……扇子で? ……タックルを?」
- 亟利
- 「ちょっと違う。扇子は……格好良いから、持ってるだけ」(パチンと閉じて
- 火星
- 「……」
- ブラッド
- 『バッカみテェな理由で分け解んネェ!!』(またゲラゲラと下品な笑い声を上げる
- 亟利
- 「大事だよ。そう言うの。(袋を何度か扇子で突付き) ちなみに今のはカウンター系の念動力って言う限定的な超能力の類なのよね。勝手が悪い……」
[utako] #肩を竦めて未だ倒れている火星の前に歩いてくる。
- 亟利
- 「あれだけの衝撃で傷がないって事は……防御系? ……盾でも殴れば痛いもんねー」
[utako] #こきりと指を鳴らして、大きく開いた掌を火星の額に伸ばして掴んだ。
- 亟利
- 「私はダブルなの。二つの異能があってさ、ひとつは防御向きにカウンター能力、もう一つは、攻撃向きに……制圧能力」
- 火星
- 「僕の、硬化は……何も、通さないんだよ!」(しっかりと亟利を見上げて、ひるまずに立ち上がる
- 亟利
- 「……鳴狐。対象は台所……障害物は私が止めておくから、早くして」
[utako] #亟利は懐に着けていたマイクに話かけてから、少し諦めるように息を吐く。
- 亟利
- 「手加減はしないよ……、『ベアハンド』」
[utako] #亟利の宣言に合わせて、火星の身体が軋み始める。大きな手で掴まれた様に、火星の戦意の高さに応じて、ギシギシと圧力がかかっていく。
- 亟利
- 「以前、敵意も戦意もないやつに会ったけど……、ああいうのは特殊な部類だわね。逆に、君みたいな熱い子には効きが良い。手を振り解いて、ほら……向かっておいで」
[utako] #火星が踏ん張り、視界の端で台所へ入っていく男の姿が映り歯を食いしばると、さらに火星を掴む見えない巨人の手の力は増した。
- 亟利
- 「(効きが良い分……、私への反動も強いのが、難点だね……しんどい)」
[utako] #涼やかな顔をしているが、内臓が締め付けられるような感覚が段々と強くなっていく。
[utako] #台所でやや物音がした後に、日本刀を携えたコートの男がフォビアを担いで現れた。
- 鳴狐
- 「共に隠れていた少女は眠らせてある。危害は加えていない……対象も同様。しかし、こちらはいつ目覚めるか解らないぞ……」
- 亟利
- 「先に行って……今、離せないから」
- 鳴狐
- 「……応」
[utako] #男は壁をすんなり飛び越え、忍者の様な動きで霧の中へと消えていく。
- 火星
- 「ふー……ふー……」
[utako] #全身を汗だくにして、徐々に亟利の手を押し返していた。
- 亟利
- 「怖いわね、小熊を取られた母熊みたいで……」
[utako] #亟利の方も限界に近づきつつある。意識が途切れるか、戦意が喪失すれば能力の効果も切れるが……火星の戦意は増し続け、逆に亟利の消耗が大きくなってきていた。
- ブラッド
- 『手ェ貸すゼ? ベアハンド』
- 亟利
- 「……黙って袋の中に閉じこもってなさいな。今回は私のサポートなんだから……、私が負けたら抱えて逃げて」
- ブラッド
- 『ヘイヘイ』
- 火星
- 「ふー……、ギッ……やっと、会えた、同じ……子、なんだ……僕が、守る……僕が、僕だって、守れるんだ」
[utako] #両腕を伸ばして、逆に亟利の額を掴む。
- 亟利
- 「一途って怖いわ……、……?」
[utako] #はじめは小さな違和感。
[utako] #掴まれた額にピリピリと痛みを感じたが、この身体だけは大きい子供に、頭部を破壊するほどの意思があるとは感じられず。能力の疲労からベアハンドの継続に集中していた。
- 火星
- (パリッとわずかに身体全体が発光し、瞳には黄金の煌きが宿る)
- 亟利
- 「……」
[utako] #亟利は、素直に目の前の煌きを美しいものだと感じた。時折、異能者や人外の中に虹彩が特殊な物がいるが……こうも近くで見た事はなく、いつもはベアハンドにより戦意を喪失させる眼ばかりを見てきた。
- 亟利
- 「……」
[utako] #静かに眼を閉じ、消耗し切った亟利がゆっくりと倒れる。
- ブラッド
- 『オイオイオイ!! マジで本気で負けてンじゃネェヨ!!』
[utako] #袋は跳ねて形を変え、出来上がった人型が亟利を支えて抱き止める。
- 火星
- 「守……守る、まこと、フーちゃん……守、まもり、守る……ど、どこ……フーちゃん、まこと……」
[utako] #火星も疲労により朦朧としながら、ブラッドの方へと標的を変えた。
- ブラッド
- 『スットーップ!! ストップ! 降参! 俺降参! 捕虜! 対象は鳴狐ッツゥヤツがが合流地点まで連れてッタ!! まことちゃん? くん? 台所で平気!!』
[utako] #バタバタと手を振りながら後退するブラッドの腕を、がしりと火星は掴む。
- ブラッド
- 『引っ張ンじゃネェゾ!! 中身はすっかすかだゴラァ!!』
- 火星
- 「……」(パリッ、パリッ、とまた発光した後に……手を離してその場で膝をつき、座ったまま動かなくなる。
- ブラッド
- 『スンませんッシ……た、……あ?』
[utako] #気を失った。発光も完全に消え、力無く首も足れている
- ブラッド
- 『ちびった……、あっぶね……』
[utako] #するりと火星の腕から逃げ、自称中身のない袋はしっかりと亟利を持ち上げて、テトテトと逃げていく。
- ブラッド
- 『なーんか忘れテル気がすっけど……、後は処理班に任せた』
[utako] #頷き、霧の中に逃げていく。
[utako] #動く物がなくなり、荒れたリビング、庭、土足で歩き回ったための汚れが残ったが、渦巻く霧がそれらの痕を通り過ぎると、全てが元通りに修復されてしまった。
[utako] #全ては霧の中の幻として消え、霧は次第に晴れていく。
2013年6月末のお話
佐藤家強襲。敗れる火星、連れ攫われるフォビア。
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とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ!
常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
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