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狭間06エピソード集

エピソード『落下物注意~2話『拾い物』~』




目次





エピソード『落下物注意~2話『拾い物』~』


登場人物



佐藤火星

中学2年生の女の子(大

フォビア

火星に拾われた女の子(小

佐和山伊織

拳銃の妖。佐藤火星の同じ学校の先輩。


本文



火星

(見えない乗客を下ろした運転手が何か恐ろしい物に出会った様な表情をしていた事に、少し申し訳なさを感じつつ、自宅まであと少しの場所まで着いていた)

火星

「さ、流石に着いてきてないよね……」



[utako] #透明化は解かずに、周囲を警戒してから家に入っていく。



伊織

「……なーんて、思ってンだろーねー……」



[utako] #沙良が言った様に、自宅へ先回り。



伊織

「(迷わず戻ってきたみたいだし、親は留守か……あるいは話が解る人達か、ま……どっちにしても所在確認用に電霊残して、帰ろーかなー……超疲れたし)」

伊織

(少なくとも後2時間程は行動を確認しておかなければならないと考えながら、ため息をついた)



[utako] #火星が自宅に入ってから30秒ほどして、二階の一室に明かりが灯り、そこが火星の部屋だと解る。



伊織

(同時に、その隣の部屋のカーテンが少しだけ揺らめき、静かな視線を感じた)

伊織

「……ヤバ」(すぐに頭を引っ込め

伊織

「(見つかった? ……いやいや、今は生身で電磁波も抑えてるし、……どんな感知系に引っ掛かったのか……)」



[utako] #そろりとまた覗き見て、外からの二階へのルートを模索する。
[utako] #失敗のこともあり、体力の回復を待つまでは奪還するつもりはないが、動きの無い時間何をするかといえば、進入経路、退路のシミュレート。



伊織

「(相手が異能である以上、不確定要素の部分が跳ね上がる……けど、も……あ、ヤバ。完全に見つかってる。めっちゃこっち観てるわ……)」



[utako] #カーテンの揺らめきの奥から月光に反射した双眼鏡が覗き返している。



伊織

「(……もうちょい、退避)」



[utako] #こそこそと離れて暫くは佐藤宅の方を確認していたが、なんら動きもなく。仲間とチャットしているだけで監視任務も終了した。


帰宅



[utako] #佐藤宅・火星部屋



火星

「まず、怪我の確認……の前に、僕の消毒、と薬箱の準備……」



[utako] #居間と自室を行ったりきたり。
[utako] #本人は静かに動いているつもりだが、古くはない佐藤家の廊下も毎日の火星の体重を支えているおかげでミシミシと音を鳴らす。



火星

「まことは寝たら中々起きないから……これぐらいは……平気平気」



[utako] #自室の隣で妹が姉の代わりに警戒している事など知らず



火星

(準備を整え、ベッドに寝かせた少女の襤褸を取り去る)



[utako] #明かりの下で再び確認する、淡い水色の髪に金属質な両手と両足、その他は人間とほぼ変わらない。



火星

「……大きな怪我はなし、生身の所にちょっとだけ擦り傷と……撃たれた後かな。ちょっと赤くなっちゃってる……」



[utako] #自分の時を思い出す。
[utako] #光の弾丸に実体はなく、子供の頃に間違えてコンセントの穴に指を入れてみたときの衝撃に似た痛みがあった。



火星

「……あの時は肩から先が全部壊れるんじゃないかと思ったなぁ」



[utako] #んー、と思い出が脱線し始めた所で意識を戻す



火星

「それにしても……この子の服、普通の服じゃないよね……エプロンみたいっていうか……病院服っていうか……」



[utako] #実験の時に着ていた検査服、と直ぐに思い当たるが……少しだけその考えは保留した。



火星

「……、表に目立った怪我はなし。少し痣はあるから……湿布切って貼っておこう」



[utako] #ごめんね、と呟いて横向きに寝かせて背中を確認する。
[utako] #目に付いたのは、肩甲骨の辺りと腰骨の少し上のあたりに開いた検査服の穴。そしてその下に見える、金属質な突起物。
[utako] #丸みを帯びていて、何かのカップがくっついているようにも見えるが
[utako] #腕や脚と同じ身体の一部だと直ぐに理解した。



火星

「何だろう、これ……何でここだけ残ってるんだろ……」



[utako] #恐る恐る撫でると、震えて僅かに開閉する。



火星

「(人、の器官……? じゃない、よね……鰓みたいな感じ)」



[utako] #少女の姿勢を元に戻して毛布をかけ



火星

(ベッドの脇に座って、初めて緊張が解け、長く長く息が漏れた)

火星

「(どうしようかな……この子、警察……病院、……まずは父さん達に相談して、それから……)」



[utako] #不意にグイッと髪を引っ張られて考えが途切れた



火星

「いたた……、今、首……コキッて……」



[utako] #振り返るとまだそこには少女の寝顔。寝ぼけて引っ張った様だったが、何かに縋る様に髪を掴む少女に対して怒る気も湧かず



火星

「……大丈夫だよ、居るから……僕もここに居るから」



[utako] #少女の手から髪を逃がした後に、一緒に横になり



火星

(代わりに指を握らせて、安心したように表情の緩む少女の寝顔を見ていると……いつのまにか眠りについていた)


起床



火星

(いつか転寝しながらみた落下する夢。怖くはなかった。楽しいと言うのとも違うが、雲より遥か上から見た景色はとても綺麗だと思った)



[utako] #ぺちんぺちん



火星

「う……」



[utako] #ぺちんぺちん



火星

「い、痛いよ、まこと……むにゃ……」



[utako] #ぷす



火星

「ふがっ!?」



[utako] #鼻の穴に金属質な何かが入ってきてさすがに飛び起きた



火星

「ひ、ひたい……な、何?」



[utako] #目の前にはあの奇妙な仮面をつけた女から助けた少女。



火星

「あ……起きたんだ。大丈夫……?」

少女

(うにうにと頷いてから、火星の事をじーっと見ている)

火星

「……え、えっと……お姉ちゃんは、佐藤火星って言って……変な人に追いかけられてた君を助けて……」(汗汗と手を振ってから、はっとして髪の色を綺麗な水色に戻す。

火星

「……多分、同じ」



[utako] #自分と少女を交互に指差して、にへっと笑う



少女

(少し間をおいてから、にへっと笑って返す)「フォビア。マァズと同じ」

火星

「変わった名前だね」

フォビア

「マァズも。変な名前」



[TK-Lean__] # フォボスとかダイモスじゃなくてよかった
[utako] #フォッフォッフォ
[utako] #姉妹よりは親子に見えそうな二人が手を合わせて笑っていると、火星はふと気づく



火星

「(すっごい緊張してたから……気にしてなかったのかもだけど……フォビアちゃん……)」

フォビア

「?」

火星

「(……くしゃい)」



[utako] #雨に濡れた野良犬のような臭いに目を点にして、どう伝えるべきか悩む。



火星

「(それより……父さん達に連絡する方が……先、なのかな……)」

フォビア

(グー、と鳴るお腹)

火星

(つられて、フォビアより大きな音で鳴るお腹)

火星

「……とりあえず、何か食べてよっか」

フォビア

「おー」

火星

「まことは……もう寝ちゃってるかな。起こさない様にしないと」

フォビア

「まこ?」

火星

「僕の妹。フォビア……フーちゃんよりはちょっと年上かな」

フォビア

「マァみたいに大きい?」

火星

「まことは、ちょっと小さいかなぁ」

フォビア

(火星よりちょっと小さいぐらいの妹を想像して、おー、と両手あげて喜んでる)

火星

(きっとすぐに大きくなって姉妹で服を交換したりとかそんな夢を見ている。夢は夢である)


相談



火星

「――て言うわけなんだけど、父さん……」


『……』

火星

「……父さん?」


『いや、なんでもない。フォビアと言う子についてはわかった。お前には怪我はなかったのか?』

火星

「擦り傷程度だったよ。あと、サンダル壊しちゃった……ごめんなさい」


『次はもう少し丈夫なやつを買おう。……さて、父さんの方でも……その、なんだ、飯砂山教授の様な研究をしている方に連絡をとってはみる。明日は学校を休んで自宅でフォビア君の面倒をみてあげなさい。』

火星

「うん……、警察、とかには連絡した方が……良いのかな」


『……父さんに任せなさい。火星は心配するな』

火星

「……うん」



[utako] #通話を終えてから、何となく天井を見上げながらため息をつく。



火星

「(普通なら……連絡するんだろうけど、普通じゃないから、連絡しないんだろうなぁ……)」

フォビア

(火星が作った軽食をハグハグと食べてる)

火星

「……フーちゃん。お父さんとお母さんは?」

フォビア

「いない。」

火星

「えっと……それじゃ、お家どこかな」

フォビア

「しらない。でもお家は、大きくて白いところ。」

火星

「何で、追いかけっこしてたの?」

フォビア

「フォビアが約束破って、マァ探したから。せんせー、気にしちゃダメって言ってたけど、フォビア、どうしても気になって、マァを探したの」

火星

(きょとんとして)「僕の事? どうして?」

フォビア

「同じ。だから」(パンくずの着いた顔でにへっと笑い

火星

「……」



[utako] #よく分からずこみ上げてくるものがあったが、簡単な事情は察した。



火星

「(白いお家……、病院? 研究室かなぁ……先生って言ってるし)」



[utako] #すぐに思いついたのはよく行く吹利大学の研究棟と父も言っていた飯砂山教授。



火星

「(あのおじいちゃん……フーちゃんのこといじめて捕まえる人には見えなかったし、研究棟は白っていうか……灰色だよね。古いし)」

火星

「……びりびりってされた所、痛くない?」

フォビア

「平気。フォビア、頑丈」(両手でマッスルなポーズ取ってみせ

火星

「良かった……、次、ああいう乱暴……な……(むしろ乱暴だったのは自分でなかっただろうか、と思い返し)……びりびりってする人達が来たら、僕が守るからね」

フォビア

「マァ……弱そうな顔」

火星

「(キリッ」

フォビア

「……」

火星

「お姉ちゃんは結構強いんだぞ!」(蟷螂の威嚇のポーズ

フォビア

「おー……」

火星

(片腕の留め具を外し、ガション、と義手を外す)「……ロ、ロケットパンチ」



[utako] #飛行機の模型で遊ぶように腕を持ってぐるぐると回転。



フォビア

「おー!」(眼が輝いた

火星

「(よし!)」



[utako] #あやすのに成功して嬉しい様子で、引かれると思って内緒にしていた義手を使った隠し芸を披露していく。



フォビア

「マァ! 凄い! 神秘!」指差し棒のように指を立てた火星の義手を受け取って、キャッキャと喜んでる

火星

「……あはは」(慣れない事をやり過ぎた

フォビア

(腕に跨って魔法の箒のような事をやって走り回ってる)

火星

「……何だろう、あんな元気な子供じゃなかったからかな……、凄いなぁ……小さい子……」



[utako] #身近な小さな子がナマケモノみたいなせいでギャップが凄い



火星

「まこと、起きないかな……フーちゃん、もう遅いから静かにね」

フォビア

(ぶんぶんと頷き)

火星

「……すっごい汗かいちゃった、お風呂はいって、陽が登るまでは寝んねしよっか、フーちゃん」

フォビア

「洗浄?」

火星

「うーん……体は洗うけど、洗浄……っていうのかな」



[utako] #少し首を傾げてから頷き



火星

「服は……小さい頃のまことの洋服あったかなぁ……、大きいTシャツでも良い?」

フォビア

「なんでもいい!」

火星

(よかった、と少し安心する。あまり深く考えた事はなかったが、検査服を家で着ている光景が少し気になっていた)

火星

「(あれを着てるときって、……調査とか研究、の対象って感じがして……ちょっと嫌なんだよね)」



[utako] #誰にも言ったことのない胸中の呟きに、少しだけちくりとするものを感じ



火星

「(……あんまり、深く考えるのはやめとこ)」

火星

「……さ、綺麗しよっか」

フォビア

「おー!」



[utako] #長い夜が過ぎていく


時系列


2013年6月末のお話

解説


起きた少女の名前はフォビア。火星と同じハイブリッドであった。

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とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ! 常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
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