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狭間06エピソード集

エピソード『蜥蜴の匂い』




目次





エピソード『蜥蜴の匂い』


登場人物



無戸室近衛

ハーレム一代男。

影蜥蜴

近衛の娘で、使い魔。


本文



[utako] #フィネストラ吹利403号室



近衛

(仕事に他界の管理、プライベートの用を済ませる頃には日を跨ぐ時間になり、肉体的な疲労はまだ良いが精神的な疲労で眠りにつきそうになる)

近衛

(髪を纏めていたタオルを解き、水の入ったペットボトル片手にソファーに深く座り、1日の疲れを吐き出す様に長く長く息を吐いた)

近衛

(天井を見上げて暫く目を閉じ、片付けなければいけない仕事を頭の中でソートし直して、このまま眠ってしまおうかとも考えた)



[utako] #ペタッ、と顔に少し重いものが乗る
[utako] #薄く目を開けると、目の前には黒い胴
[utako] #小さな四肢で顔にしがみ付いている影蜥蜴だった



近衛

「……ちょいと冷てぇさな」

影蜥蜴

「近衛の頭は良い具合に暖かいです」

近衛

(影蜥蜴がしがみ付き易い様に頭を傾け) 「もう寝る時間だろ。漫画描くのは良いが、生活に支障出ねぇように気をつけろよ」

影蜥蜴

「了解です、近衛も寝ても良い時間にはしっかり睡眠をとってください」

近衛

「あぁ」



[utako] #エイリアンの幼体に飛び掛られた人みたいになっていたが、片手で蜥蜴の背中を掴んでそっと剥がす



影蜥蜴

(少しじたばたしてから、大人しくなった)

近衛

(特に何もする気はなかったが、両手で抱え直しふと腹部に顔を当てて……くんくん)

影蜥蜴

「嗅ぐのはやめてください!? 別に臭くないです!」



[utako] #じたばた



近衛

「いや……、何となく。蜥蜴の腹ってどんな匂いなのかと……見た事はあっても嗅いだ事はねぇしな」

影蜥蜴

「む、むぅ……」

近衛

(持った感覚、気持ち脂肪が着いてるような気がしてぷにぷにと軽く指で押してみる)

影蜥蜴

「……噛み付きますよ」

近衛

「か、影が……反抗期か?」

影蜥蜴

「違います。あまり揉まないでください……」



[utako] #身を捩って体の向きを変えて、ポンッと人間体に変化した。
[utako] #そのままどすん、と膝の上に座る。



影蜥蜴

「これでも年頃です。過度なコミュニケーションは子離れの妨げになりますよ」

近衛

「子離れか……、したくねぇなぁ。その内しねぇといけねぇ時が来るんだろうが……その時を待つさ」

影蜥蜴

(じっくり背中を預けて近衛の腕を自分の体に回させつつ)「実子が出来た時はより酷そうです」

近衛

「実子か。俺にとっちゃ、お前らも実子同然さな」

影蜥蜴

「子であり使い魔、それも自分の理想や想像を具現化したものは……同じであっても、人はどこか違うものだとちゃんと認識するものです」

近衛

「……確かにちょいちょい使い魔として頼っちまって、悪い」

影蜥蜴

「別に使い魔として頼られるのは嫌ではないですし、影に限らず……何体かは使い魔としての側面を強く想い創造してるではないですか」

近衛

「それも確かさなぁ……後から大事な物の形としてしっくりくるのが、子だな、と思って子として扱う様にした」

影蜥蜴

「それはそれで嬉しいですが、何かの変わりになるのであれば……失った物の変わりが影は良いです」

近衛

「義理だが親父もお袋も出来た。大丈夫さな」(嬉しそうに笑って、影蜥蜴の頭を撫で

影蜥蜴

「むぅ……、伝わってるのかどうか不安になります」

近衛

「良く解らねぇが、て事にしといてくれ」

影蜥蜴

「夜も眠れない程に、熟考してください」



[utako] #少し頬を膨らませて、膝の上から退き



影蜥蜴

「あまり遅くならないように、近衛。おやすみなさい」

近衛

「あぁ、おやすみ」



[utako] #やや頬が赤くなっていたような、足早に去っていく影蜥蜴を見送った後



近衛

「……代わりか」



[utako] #軽く頭を抱えて、暫くソファーに座っていた……


時系列


2013年2月

解説


あからさまに好意を押し出す影と、それをかわす近衛。親子なのか主従なのか微妙な関係。

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月影れあな

ログ切り人。IRCでのNickはTK-Leana。 思いつきでキャラメイクしては一発ネタで終わることが多いため、参加者ページのキャラクターリストは出オチキャラの墓場になっている。
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