ど素人から職業クリエーターまで、TRPGと創作で架空世界を楽しむコミュニティ。TRPG+PBW+キャラチャ+創作。


狭間06エピソード集

エピソード『変われぬ愛』




目次





エピソード『変われぬ愛』


登場人物



無戸室近衛

飽くまで我欲に忠実で、何も捨てられない男。

緋昏歩

男を理解できず、受け入れられず、それでも離れられない女。


元旦からの近衛と歩



[arca] 元旦から歩と近衛は会ってない感じ?
[utako] 多分、そうなるのかなぁ
[arca] 歩はWhiteLineに行って呆然と待ってたりした
[utako] そうなると近衛は毎日通ってるから、会うには会ってしまう
[arca] ふむ
[arca] ふむむ


WhiteLine



[arca] #元旦の出来事の翌日、躊躇いながらもWhiteLineに足を踏み入れる歩




「…」



[arca] #その場に座り込む



近衛

(先に来て黒い外套を被って遠くから眺める)


「……あ…」(近衛に気付く

近衛

(近づいて来る様子も遠ざかる様子もなく。羽織に包まって動かない)



[arca] #立ち上がり、とぼとぼと近衛の方へ近づいていく



近衛

「かなりしょげてるな」 (普通の黒い瞳を覗かせて


「…近衛」



[arca] #声の届く所まで近づき



近衛

「…」


「…」(うつむく

近衛

(言葉を交わす事はなく、ただ沈黙を続けて歩を観ている)


「なにも言ってくれないんだ…」

近衛

「昨日の今日だからな。何を言って良いのか…よく解らん」


「…どうして出てっちゃったの?」

近衛

「多分、逃げたんだろうな。歩の事を頼りにして、色々縋っちまって、結局は歩の願いを叶える事も難しい。そんで、口ばっかりだからな…悪い」


「に、げ…」



[arca] #ふらりと一瞬よろけ、ギュッと身体を強ばらせた



近衛

「そうさな」


「…これからうまれて来る子に、こんな気持ちを託したくない…から、ごめんなさい……子供が、私だけのものなんて、できない…よね」

近衛

「歩は、そうしてぇんだろう?」


「…子供を天秤になんてかけたくない…」

近衛

「そいつは良かった」(目元だけ、心底嬉しそうににかりと笑う


「近衛が、あんなこと言うから……」

近衛

「俺の焦りだな…、いつかもそうだったかもしれねぇ。子供を出汁に使ったのは俺が卑怯だったさな」


「…」

近衛

「悪かったな、歩」


「近衛…覚えてる?私が家出したときのこと…」

近衛

「あぁ」


「近衛、熊本まで追いかけてきてくれたよね…嬉しかった」


「でも結局、迎えにきてはくれなかったよね…」

近衛

「そうだな。俺には香苗さんを退けて歩を迎えに行く事はできなかったさな」


「そして、昨日は…私から逃げ、にげた……」(言い切って座り込む

近衛

「あぁ」


「…」(膝を抱え肩を振るわせて


「いらないんだね…私…わかった…」

近衛

「色々頼りにしてるから一緒に居てくれ、迷った時には俺を観ろ、願いはなるべく叶えるから、子供のために、子供のために……逆さな」

近衛

「出会ったばかりの俺が、歩には必要で。今の俺は歩には邪魔なものなのさ」


「……同じじゃない…変われない私は邪魔なんだ…だから逃げたのよ…」

近衛

「そいつは違うさ。変われないのが理由なら、歩がハクリンを捨てて家出しちまった時点で俺は歩から逃げてるさな。逃げてる…ってのもおかしいか、多分、嫌いになってる」


「じゃあなんだって言うのよ…どれだけ惨めにならなきゃいけないの…」

近衛

「惨めでも俺と居てぇなら、そうしてるだろう。そうしたくねぇから別れた。俺は待つさ…それがどれだけ夢見る事でも、口ばかりの男が逃げてまでするにも惨めだが、どう惨めになるかは自分で決めてくれ」


「………やっぱりなにも、決めてくれないのね…」


「私がどうするかは、私が決めること…そうよ、当たり前よ……でも…」


「そうしたら壊れてしまうときだって、ある」

近衛

「俺はお前の事を愛している。だから、戻って来い……そんな言葉を繰り返す以外に俺に言えるのは、そうさな。あの頃の様な、友達に戻ろう歩」


「……子供のためって、言ったわよね?それは、私の望みでも有る。だから、今まで通りよ」


「でも、友達には戻れない」

近衛

「今まで通り、てのはあんまり…為にならねぇような気もするが、微妙な関係のままで良いのか?」


「今の関係を続ける気もないわ…」

近衛

「……どうすんだよ」


「そうね…ただの…知り合いじゃないかしら。世界で1番憎くて、愛おしい…」



[arca] #感情がこもっていない声色でさっきまで泣き濡れていた視線を向ける




「それとも、香苗さんに頼んで養子にしてもらおうかしら。…子供達のために」

近衛

「俺の従妹になるって、か…」


「関係上は、そうなるわね」



[arca] #無機質な美しさを称えつつ、凛と




「もちろん、無理にとは言わないわ。あなたが嫌ならやめる」

近衛

「嫌じゃねぇさ。だが…暫くは決定は保留さな。まだ考える時間はお互いに必要だろうさ」


「そう…」(一瞬睨むような眼差しを向けたが、すぐに冷静に見つめる


「WhiteLineのこともちゃんと面倒見ないとね。今日も見回りするんでしょ?」

近衛

「あぁ。今日は緩めにしとくつもりだが…………、着いて来るか?」


「ええ、この世界のことも色々知りたいし」

近衛

「……解ったさな」



[utako] #ゆっくりと羽織をずらさないように立ち上がって
[utako] #恐る恐る、と言うよりはかなりスローに手を差し出す




「自分で立てるわ」(すくり


「でも、ありがと」(物悲しげな社交的な微笑み

近衛

「…あぁ」 (手を引っ込めて、空をちらりと見た後にゆっくりゆっくり南に向かって歩き始める


(無表情について行く



[utako] #そんな感じ?
[arca] #WhiteLineではこのくらい


意地



[arca] #WhiteLineから帰って、アネモネラウンジ




「……」


「ただいま…」



[arca] #WhiteLineでは毅然としていたが、帰ってきた途端弱々しく跪く




「……明日の準備、しないと…」



[arca] #希薄な息遣いで調理場に立つ


時系列


2013年正月

解説


飽くまで曲がらぬ近衛と、それについて行けない歩。この先にどのような道を見つけるのか。

The following two tabs change content below.
アバター画像
とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ! 常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
コメント一覧

コメントはありません。

この記事にコメント

*

*

トラックバックURL