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狭間06エピソード集

エピソード『仮面の襲撃』




目次





エピソード『仮面の襲撃』


登場人物



秋葉山小鉄
今回の被害者

仮面男子
妖し過ぎる。魔術師らしい。

仮面女子
やはり妖し過ぎる。


本文


[utako] #放課後、射撃部練習場裏



小鉄
(締めの校庭2周を走り切り、軽いストレッチをしてから校舎の壁に座りこむ)



[utako] #段々と日が長くなってきた。下校時間が近づいて来ると流石に暗いが、まだ夜に不安を抱く程ではない。
[utako] #風が冷たくても、支給された特別製のユニフォームのおかげで体温は下がらないが、頬を伝う汗は垂れる間に冷たくなっていた。
[utako] #後はシャワーを借り、着替えて帰宅するだけの普通の放課後。
[utako] #ただいつもより少しだけ風が冷たく、少しだけ、花の香りがした。



小鉄
「―――」



[utako] #すぅ、と一呼吸して立ち上がろうとすると、花の香りは増し、鼻の奥に蜂蜜を塗られた様などっぷり甘い香りが漂ってきた。
[utako] #伝う汗がはっきりと解るほど、疲労を抑えて感覚が研ぎ澄まされる。
[utako] #わずかに足音が聞こえてそちらを振り向くと、ただ角を曲がって歩いてきた様子で異様な衣装の……恐らく男子生徒が居た。
[utako] #ラベンダーの刺繍の入った、毒々しい紫色のインバネス。鼻の無い仮面にはスペードと交差する三本の剣の紋様。辛うじて見えた足元が素足ではなく男子生徒用のズボンであったため、それが生徒だと解った。



小鉄
「……」



[utako] #一呼吸が長くなる。制服の改造が許されているとはいえ、ここまで異様な格好が制服なのか、それとも自分の様な特殊なユニフォームなのか、ただ普通に考えてしまった。



?? 
「3-23、続いて、1-21・21-5・5-25・25-1」



[utako] #手を翳して、口早に数字を唱えた。



小鉄
「……は?」

?? 
「人除けさ。いや、人気の利用なんだけど……、効果さして変わらないかな」



[utako] #少年の声は高く、やや高揚していた。
[utako] #翳した手を指揮を執る様に振ると、変化は訪れた。
[utako] #風の吹く音も、校舎から聞えていたわずかな騒音も消え、時の止まったような静寂が訪れる。



?? 
「マスターなら、これぐらいは書き込めば何とかなるんだろうけど……僕にはそれほど才能も技術もない。少々、大仰な物になってしまったのは申し訳ないよ」

?? 
「十分です。でも、その格好はどうかと思いますよ……何て言うか、悪役っぽくて」



[utako] #仮面の男子生徒が前方として、後方からも声がして振り返ると、大きな赤い頭部に跨った女子生徒がいた。男子生徒と同じような仮面をつけてはいるが、格好は制服のまま。



仮面男子
「僕みたいな者が魔術を使う時には、魔術師に成り切らなければならなくてね……世界に刻み込む前に、己に刻め、我は魔術師也。って……恥かしくも嬉しい、マスターから貰ったものだよ」

仮面女子
「恥かしいって言ってるじゃないですか……」

小鉄
「え……、……は?」

仮面男子
「おっと、ごめん。置いてけぼりにして。始めに言っておくけど、僕らは君に敵対するつもりはない。ただちょっとしたアドバイスを頼まれてね」

小鉄
「……アド……バイス?」

仮面女子
「魔窟に飛び込む前に、それなりの心構えというものを。正直……私も加減が下手なほうなので、酷い怪我をした際には後で記憶を消させて頂きます」

仮面男子
「治療も消去も、僕に任せてくれれば、君は明日からはまた普通の生徒だ」

小鉄
「……は……、はぁ!? ストーップ!! タイム、タイム……どう言う事、俺、変なのに絡まれてる、上級生? ……中学生デビューでスキンヘッヅ(マルコメ)からリーゼントなんかしたから……? 」

仮面男子
「そう言う危機感の方が良いのかい?」

仮面女子
「どうでしょう……そう言うのは私、なかったので」

小鉄
「シメられてるわけじゃない……つか、弱そう、声弱そう、格好変だけど、声弱そう……上級生っぽいけど、男1女1……」

仮面男子
「ぶつぶつ言い始めたよ……、大丈夫かい?」

仮面女子
「声で判断って……中々、単純ですね」

小鉄
(踏ん張るように顔を上げて)「うッス!! 通過儀礼か何か知らねぇッスけど、俺、喧嘩負けた事ないんで、いっつも先生に止められてみんな仲良く喧嘩ダメだったんで、負けた事ないんスよぉ!?」

仮面男子
「……僕、苦手だよ。この子。ちょっとバカっぽい所が、日常に戻されそうだ」



[utako] #手を振ると漂っていた花の香りが増す。



仮面男子
「人間が相対するレベルの物理的な暴力についてはどうでも良いんだ。純粋なエネルギー体との衝突に関して、アドバイスしよう」

小鉄
(冷や汗を垂らしながら、身構えた)

仮面男子
「3-23・3-15……避けて逃げた方が良い、まずは贈り物だ」



[utako] #どっぷりと油のような液体の塊が空中に現れ、仮面の生徒の指揮に合わせて撃ち出された。



小鉄
「!?」


時系列


2013年4月

解説


謎の仮面男女から襲撃を受ける小鉄。どう考えても悪役である。

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とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ! 常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
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