ど素人から職業クリエーターまで、TRPGと創作で架空世界を楽しむコミュニティ。TRPG+PBW+キャラチャ+創作。

狭間06エピソード集

エピソード『歩の怪異探訪⑦』


目次


登場人物

緋昏歩
モノノケ商店街の喫茶店『アネモネラウンジ』の店主。記録屋。

本文

---

[arca] #日暮の街角

    歩:(きまぐれで買ったペットボトルのお茶を飲みつつ休憩

[arca] #近くに手頃なベンチもあった

    歩:「あ、一番星」

[arca] #空を見上げ、また地上にめを降ろす

    歩:「だーれも気付いてない」(ちょっと優越感

[arca] #行き交う人達は一番星の事など眼もくれず往来する

    歩:「…あ」

[arca] #しかし、往来の中で一人だけ。立ち止まり空を見上げ、佇んでいる人影が目に止まった
[arca] #どうやら女性の様だ
[arca] #彼女もまた、一番星を見つけた…かは定かではない。だがこの忙しない往来の中で立ち止まり空を見上げている事は確かである
[arca] #それは歩の目に止まるとともに興味を引くに十分なものだった

    歩:「なにを見つけたんだろう。私と同じで一番星かな?」

[arca] #なんとなく、ぽんやりとその女性を観察する

    女性:「……」
[arca] #次の瞬間、フッと女性の姿が消えた
[arca] #人の往来が歩の視界を遮る一瞬の出来事だ

    歩:「あれ…」

[arca] #怪異な出来事に反応し、歩の思考が一気に加速する
[arca] #すぐさま周囲に異質な『働き』がなかったかどうかを感覚を総動員し探った

    歩:「気配がある」

[arca] #たしかに、尋常とは異なる力のなごりが感じられた
[arca] #悪意のようなものは感じられず、酷く微弱なものだ

    歩:(立ち上がり、女性が立っていた場所まで移動
    歩:「こっちね」

[arca] #なごりを辿り、メインストリートから外れる

    歩:「あ、居たわ…」
    女性:「……」

[arca] #女性は先程と同じように空を見上げていた

    女性:「…あ」(歩に気がつく
    歩:「こんばんは」(微笑み、何げないあいさつ
    女性:「こんばんは…」
    歩:「あなたも一番星、見つけたんですか?」
    女性:「え?」
    歩:「ほら、あそこ」(紺色の空の一点を指差し
    女性:「…あ、ほんとうですね」(はたと気づき、笑みをこぼす
    歩:「(一番星をみてた訳じゃないのね)」
    歩:「空をみてたから、私と同じかなと思ったんですけど…違ったみたいですね」

[arca] #ごめんなさいと続け、微笑む

    女性:「いえ……小鳥を、探してたんです」
    歩:「小鳥?」
    女性:「はい、コザクラインコって言うんですけど…私が飼ってたんです」
    女性:「でも、昨日脱走しちゃって…」
    歩:「なるほど、それで」

[arca] #空を見上げていた理由が分り、一つ納得を得た

    女性:「カラスに食べられちゃったりとか…ああ、ヒヨちゃん」
    歩:「きっと大丈夫ですよ。インコなら高い所だけじゃなくて、意外と低い所にいるかもしれないですよ?」

[arca] #優しく語りかけ

    女性:「ありがとうございます…」
    歩:「この辺りにお住まいですか?」
    女性:「はい」
    歩:「この辺はカラスも少ないし、追われて遠くに逃げてしまう事も少ないと思います」
    女性:「そうですよね…すこし、楽になりました」
    歩:「本当に大事なんですね。懐いているなら名前を呼んで探した方がいいと思いますよ?」
    歩:「以外とすぐ近くにいるかもしれないし」
    女性:「そ、そうですね…恥ずかしいけどやっぱりその方が…ヒヨちゃーん!」

[arca] #あまり大きくはないが、辺りに響くには十分な声量

    歩:「ヒヨちゃーん、出ておいでー」
    女性:「ヒヨちゃん!ヒヨちゃーん!」

[arca] #歩もお手伝い

    SE:「ピーっ」

[arca] #すると、すぐさま返事が帰ってきた

    女性:「ヒヨちゃんの鳴き声だわ!」
    歩:「びっくり…ほんとに近くに居たのね」
    女性:「ヒヨちゃん!どこ?」(きょろきょろ
    ヒヨちゃん:「ピー」

[arca] #女性が呼びかけると、垣根から小鳥が飛び出しブロック塀の上に留った

    女性:「ヒヨちゃん!」(ぶわっ

[arca] #女性が両手をのばすと、その中にすっぽりと潜り込むヒヨちゃん
    女性:「良かったわ無事で…」
    歩:「見つかって良かったですね」(微笑み
    女性:「はい、ありがとうございます…」
    歩:「いえ…それじゃあね。ヒヨちゃん」
    ヒヨちゃん:「ピー」

[arca] #歩は女性とヒヨちゃんに手を振り、その場を去る

--

    歩:(手帳を取り出し、綴る
    烏天狗:「アレで良かったの?彼女の異能の詳細はわからないままだったけど」
    歩:「ええ、感動の再会なんだし野暮な事はしない方が良いかなと思って」
    歩:「それに、あんなにすぐ見つけてくるとは思わなかったもの。聞きそびれちゃったわ」
    烏天狗:「元々それほど離れた場所に居なかった。私が連れてこなくてもその内見つかっていただろう」
    歩:「ふーん…ま、失敗した訳じゃないし別に良いわ」

[arca] #記録を終えると、烏天狗の方へ手帳をかざす

    烏天狗:「では、私は戻る」(ふわりと光の粒子になり消える
    歩:「おつかれさま」

[arca] #空を見上げると星の数はかなり増えていた

    歩:「ビルを渡りながらゆっくり帰ろっかな」

[arca] #ふわりと歩のすがたが浮き上がるように、夕闇に消えていく

---

時系列

2013 8月5日

解説

日暮に空を見上げる女性を見つけ、小さな人助け。

The following two tabs change content below.
コメント一覧

コメントはありません。

この記事にコメント

*

*

トラックバックURL