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狭間06エピソード集 私立探偵部の日常

エピソード『火星の冬』


目次


エピソード『火星の冬』

登場人物

佐藤火星
正体不明の義手義足を持つ少女。
青年
イズナゼミの研究助手。

イズナゼミ

[utako] #年明け前、吹利大学。イズナゼミ

火星
(年末最後の実験に呼ばれて、試験モジュールの中でテストスーツに着替え、各種センサーやヘッドマウントディスプレイを着けた状態で待機)
火星
(感覚手袋を外した状態で物を持つのが既に不便に感じつつも、身体から計器に繋がっているコードを外さない様に柔軟)
青年
『ごめんね、火星君。冬休みだって言うのに付き合ってもらって』
火星
「宿題とかちゃんとやってますから、大丈夫ですよ」(ガッツポーズ見せて
青年
『はは…、じゃぁ以前と同じゲームみたいな感じだから気軽に遊んで行ってね』
火星
「はい」

[utako] #眼を閉じて身体の力を抜く
[utako] #義手に幾何学的な模様が一瞬浮かび上がり、火星は半身、WhiteLineに跳ぶ。

冬の大地

[utako] #初めに眼に映ったのは降り積もる白い雪。
[utako] #空には灰色の分厚い雲があり、ガウスのかかった白い大地と暗い空が曖昧な地平線を標していた。

火星
「……寒っ!?」
火星
「あれ!?前のシューティングゲームじゃなくて、え……あ、あの、それより寒いのは…」

[utako] #耳に手を当ててマイクに向かって話そうとするが冷たい義手が耳に冷やりと当たって飛び跳ねた。

火星
「―――冷ひゃぁ!?」

[utako] #眼が覚めた様に瞬きして両手両足を確認。見慣れた義手に金属の脚、以前にゲームと称した実験をした時とは違う。
[utako] #ただ知らない感覚ではなく、はっきりとしない何度も夢に見たような…
[utako] #ぼうっと考え様とするが状況が許さなかった。手足から感じる冷気に危険を感じて、どっと心臓が高鳴る。

火星
「…あ、っと、だ…駄目だ。寒過ぎる…」

[utako] #慌てて周囲を見渡し、背後の巨大な建造物に気づく。
[utako] #ただただ大きな黒い四角い建物。

青年
『――星君、火星君?聞こえてるー?』
火星
「は、はい!やっとスピーカー直った…、すみません。ちょっと寒過ぎるから、冷房下げて貰えると…」
青年
『外に出ちゃったか…、すぐに対処するから、耐久試験だと思って少し我慢してね』
火星
「耐久って…、で、出来れば短めに…、この寒さはすっごく拙いです!すっごく!」

[utako] #半場悲鳴のように懇願していると、四角い建物の壁面が開き、入り口になる。

青年
『中に入って、暖を取って防寒具もあるから着てね』
火星
(言われるより早く、ずぶずぶと雪の中を進んで建物へと向かった)

[utako] #建物の中はSF映画に出てくるような未来的な構造になっているのかと少しは心ときめかせたが
[utako] #構造は大学棟内を模して作られた様で、生活臭すら感じそうで微妙な気分になった。

火星
「……あ、でも普通に暖かいや」

[utako] #身体についた雪を落として廊下の矢印と『こっちだよ^^』というメッセージ文に沿って、構内を進む

火星
「(…いつも来てる棟の中だ)」

[utako] #見覚えのある張り紙、壁の傷、部屋を隔てて見えた窓の外は明るく、日常的な風景が見えたが…ゲームの中と言うのもあり、何より今回の実験は大変そうだと
[utako] #感じて先に進む事にした。
[utako] #たどり着いた部屋は奥まったあまり人気のない作業室
[utako] #床や壁に現れる電光掲示板のようなメッセージに従い、中に入る。
[utako] #一瞬、ノイズが走り金髪の少女が見えた。頭の両側から横に何か伸びていたようにも見えたが、一瞬で、それもかなりブレていたのでちゃんとは確認できなかった。

火星
(まだ冷たい手先で首を触りながら矢印を確認して、終着だと判断する) 「……えっと、着きました。」
青年
『その部屋のロッカーの中に色々と入ってるから使ってね。後は……何か居る?』
火星
(ロッカーを物色しつつ、防寒ウェアの上下に手袋、ゴーグルを取って) 「ちらっと女の子が見えました。小学生……か、中学生ぐらいの。一瞬で、今はもう見えません」
青年
『やっぱり、犬に噛まれても…狐は狐かな』
火星
「?」
青年
『他に変なのが見えたりしたら報告をお願いね』
火星
「はい。……それで、僕は何をしたら」
青年
『そうだった。今回は―――』

[utako] #以前のようなシューティングゲームをするのではなく、今回は言ってみればRPG。
[utako] #大学の地下に行き、そこから通じるトンネルを進み、地下に沸いたモンスターを倒すクエスト。
[utako] #武器はバールのようなものと、喉が渇いたら、と至急されたウィダインゼリー
[utako] #モンスター、地下、と聞いていたので初めはかなりびくびくと進んでいたが、出てきたのが鯛焼きで安心して、勿体無いが容赦なく餡子をぶちまけた。
[arca] #食べなかったのか
[utako] #3秒ルール適応不可だったので

火星
(途中からは武器を使うより掴んだり踏んだりするほうが楽なので方法を変えた)
火星
(時々鯛焼きについて熱く語る部活の先輩を思い出すが、やたらスパルタな所があるので地味に発散。鯛焼きごめん)

[utako] #数時間後、トンネルの端まで辿り着き

火星
「うわ、餡子塗れだよぉ…やだなぁ」

[utako] #味見をしてみようかと思ったが止めておく

青年
「はは……、うっぷ。近くの梯子から上に上がって、近くに池があるから…洗浄したら終わろうか」
火星
「はい…」

[utako] #義手は乱暴に使うが汚すのはあまり好きじゃないので、やや唇を尖らせながら梯子を上り、ガラスに覆われた空間に出る。
[utako] #やはり周囲は雪だったが、温泉のように暖かそうな湯気を出している池を見て、気分は向上した。
[utako] #温泉や銭湯と行った類には入る事がまずないので、大きなお風呂と言う感覚に近いだけ嬉しくなった。

火星
「…あ、これって……ゲームだった。危ない危ない…」

[utako] #服を脱ぎかけて

青年
『……』
火星
「腕と脚の洗浄はいつも通りで良いんですか?」
青年
『う、うん。そうだね』
火星
(大きなお風呂なのに…、と少し残念そうに湯を汲んで餡子を落とす)
火星
「ちょっと餡子臭かったですけど……、割と面白かったです」
青年
『良かったね。こっちも色々と助かったよ』
火星
「最近、友達に梱包財貰って……あれを潰す感覚に近いって言うのかな。でもでも、ビジョンが鯛焼きじゃなかったらもっと面白かったと思います」
青年
『食べ物を粗末にするのはいけないね。次からはもう少し手を加え様かな』
火星
「ゴキブリとかにするのは止めてくださいよ。カサカサする系とか、べちゃべちゃする系とか……」
青年
「要望があったら応えるよ」
火星
「あれが良いです。ほら、眼が二つあって、ぷよぷよしてるやつ」
青年
『4つくっつけると消える方?』
火星
「はい。あれなら、触って気持ち良さそうだし…あのゲームやった事ないから、4つくっつけて消してみたいなぁ…メラ!とか出ます?」
青年
『ごっちゃになってるね。そう言う感覚は難しいなぁ…くっつけて消す事はできないだろうけど、ほら、倒したモンスターをカード化するって言うのなら』
火星
「デュエル!」
青年
『火星君はもうちょっと勉強した方が良いかなぁ』
火星
「あれ……、倒すのとはちょっと違う気がしますけど、ポケットな感じの方ですか…?」
青年
『駄目だよ、そっちは最近柔らかくなってるけどね。色々と怒られちゃうからね』
火星
「ボール投げて、テレルンしてみたいなぁ……」
青年
「鯛焼きのままなら、カード化して……ほら、ほら、レシピを、持ち前のモンスターにする…?」
火星
「ちょっと解らないですよぉ…」
青年
『……だよね。漫画は好きだったんだよね、僕は』

[utako] #勝手に落ち込む青年とおしゃべりしつつ、順調に実験は終わった。

帰還

SE
プシュゥ…
火星
(頭のセンサー類を外して、大きく深呼吸)
火星
「ふぅ……」
青年
『お疲れ様、隣の部屋にお菓子とか用意してるから着替えたら自由に食べてね』
火星
「はーい」

[utako] #慣れた手つきでコードを取り、青年がモニタリングルームから出て行ったのでパパッとテストスーツから私服に着替えてしまう。

火星
(感覚手袋を装着しようとして、腕の溝に僅かに黒い物が詰まっているのを見つけ)
火星
「…こっちもこっちで、もうちょっと丁寧に洗わないと…かなぁ」

[utako] #年末の大掃除の時の締めは腕にしよう、と考えつつ感覚手袋を装着し、指先に血が通うな感覚に身震いする。
[utako] #指がより人間らしく滑らかに動き

火星
「むっふっふ」

[utako] #いつやっても楽しいその感覚に自分の両頬を揉みながら、隣の部屋のお菓子を求めて退室した。

時系列

2012年12月

解説

いつものようにイズナゼミの被検体として活動する火星。外が冬のせいという訳でも無かろうが、WhiteLineの中も大分寒かった。
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utako
とにかく、元気いっぱい!ぶらりんぱわーではぴはぴ! 常識的な子は少ないけど、それでもあまり修正しないところがはぴはぴ!Paとジト目担はこちらです
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