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狭間06エピソード集

エピソード『木の葉の少女』


目次


エピソード『木の葉の少女』

登場人物

獅子王
モノノケ商店街の住人。鵺の正体。
五加木姫
モノノケ商店街の住人。ギリースーツ(?)幼女。

本文

[arca] #モノノケ商店街
[arca] #土曜でいつもよりも少し客入りが多い商店街

獅子王
「ふー…」

[arca] #今日はライオンはおやすみ
[arca] #呉服屋では煙管を吹かすなと追い出されたため、商店街に設置されている自販機コーナーに居座る

獅子王
「昼はいつもので良いとして、午後はなにをするかな」
獅子王
「吹利の地を観光するのも一興か」

[arca] #煙管を片付けて商店街をぶらりと歩き出す

獅子王
「…ん?」

[arca] #路地の方に木の葉の塊があるのをみつける

獅子王
「この季節にしてはやけに多い量だ」

[arca] #まるで雪だるまをつくるような堆い木の葉。秋口でもなかなかお目にかかれない量である
[arca] #木の葉の山に徐に近づく

獅子王
「しかし、どこからこんなに集めてきたのだ…」

[arca] #まじまじと見つめる。よく見ればこの辺りにある木の葉とも違う

SE
がさがさっ
獅子王
「!?」

[arca] #突然木の葉の山が揺れた
[arca] #ビクっと背を振るわせ、一歩飛び退く獅子王。

獅子王
「なんだ!?」
木の葉の山
(ガサガサ、ガサガサ、…もこ
獅子王
「ん?!」

[arca] #一層激しく揺れた後、その頂点あたりからも凝りと人の顔が飛び出た

木の葉の山
「…んへ」

[arca] #にっこりと微笑む顔

獅子王
「…童子か?なにをやってるんだお前は」
木の葉の山
「…ふぁっしょん?」

[arca] #顔は幼く、木の葉の丈からしても子供の姿

獅子王
「ふぁっしょん…?なんだそれは」
木の葉の山
「わかんない。でも面白いでしょ?」
獅子王
「確かに面白いが、心の象に悪い…」

[arca] #まだ若干ドキドキしている

木の葉の山
「んへへ」
獅子王
「…(女子か…またやんちゃだな)わかった、もう良いだろう?そこから出てこい」
木の葉の山
(首を振る
獅子王
「ん?なぜだ」
木の葉の山
「これしか着てないから」
獅子王
「……裸なのか?」
木の葉の山
「ちがう。これ、ふぁっしょん」(がさがさ

[arca] #木の葉をガサガサと揺らし誇示する

獅子王
「面妖な…お前この商店街の住人か?名前は」
木の葉の山
「五加木姫(うこぎ・ひめ)。オニイチャは?」
獅子王
「獅子だ」
「獅子?かっこいい」
獅子王
「そうか。…その格好で表へでない方が良いぞ。色々と厄介だからな」
「うん。太い道には出ない。ここで遊んでる」
獅子王
「ここも人目がつかない訳じゃないんだがな…普通の服はないのか?」
「ないことはないけど、おちつくから」
獅子王
「表に出るならせめて普通のふくにした方が良いぞ」
(んーと少し考えて)「わかった。ありがと獅子オニイチャ」
獅子王
「おう」
「お礼にこれあげる」

[arca] #がさごそと木の葉から白い腕がでる

獅子王
「なんだこれは…財布か?」
「拾った」
獅子王
「そうか…そう言うのは警察に届けなさい」
「わかった」(表通りに行こうとする
獅子王
「待った!拙が届ける」
「そうん?はい」

[arca] #さしだされた財布を受け取る獅子王

「あ、お腹空いたから姫帰る」
獅子王
「…さようか。気おつけて帰れよ」
「うん。またね獅子オニイチャ」

[arca] #モゾゾと動いて路地へと消えてゆく木の葉の山

獅子王
「…俗世に混じっているといっても、ああ言うのも居るのか」

[arca] #姫が見えなくなるまで見送り、ゆっくりと踵を返す。

時系列

2013年1月

解説

モノノケ商店街、土曜日の昼前の出来事。
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